プラトニックとインモラル、その対比がもたらす群像模様|映画『愛なのに』レビュー評価
いろんな“好き”の葛藤を描いた物語
書店の店主とその店主に恋する女子高生。結婚式を間近に控えた夫婦とその不倫相手。そんな彼らの、群像劇。
プラトニックとインモラル、2つの「愛」がひとりの男のもとで交錯する──そんな、お話。
古本屋の店主・多田は、昔のバイト仲間、一花のことが忘れられない。その古本屋には、女子高生・岬が通い、多田に一途に求婚してくる。一方、亮介と婚約中の一花。結婚式の準備に追われる彼女は、亮介とウェディングプランナーの美樹が男女の関係になっていることを知らずにいて。
映画『愛なのに』|純愛と下世話な鮮烈ストーリー
物語は冒頭から唐突で。
女子高生・岬(河合優実)が、古本屋の店主・多田(瀬戸康史)にイキナリ求婚するという展開から始まる。思わず背筋が伸びるような展開である。
なんやかんやあってそこからシーンは一転、ウェディングドレスに身を包んだ女性と、その夫へ。
結婚がテーマのラブストーリーか? と思いきや、じわじわとその二つの物語は繋がっていき、「愛とはなんだろうか」というテーマにじり寄っていく……かに思えた。が、
「下手ですよね?」という一言に、思わず固まりそうになった。
スローリーに進んでいた物語が、まるで別作品のように急発進。映画冒頭のインパクトとはまた違ったベクトルへ。
本当はこの件についてもっと掘り下げたいのだが、しかし出来ない。ネタバレしたくないというわけではなく、詳細は伏せるが、いろいろと制約があるようだ。
……だから、下手なんだってば。察しろ。
しかしながらやはり、この作品は「愛」…というか「LOVE」がテーマなのだろうと思う。
もう一度言う。**2つの「愛」がひとりの男のもとで交錯する**──そんな、お話。
本作はやや影薄だが強い主張の河合優実
正直、「下手ですよね?」の衝撃が強すぎて、私は中に浮いてしまった。
だから今回も、河合優実に執着して書いちゃおうと思う。
そもそもこの作品を観ようと思ったきっかけが、河合優実の出演であるのだ。
以前レビューした映画『ナミビアの砂漠』で彼女の存在感に興味を持ったのが始まりである。
『愛なのに』はそれよりも前に撮られた映画だから、もちろん彼女もそれより若い。
しかし演技はすでに光っている。「ああ、河合優実の演技だな」と思わせるものになっていた。
表情、仕草、身振りや手振り、そのどれもが自然で、そこに“生きている”と感じさせる。
すでに完成されているとすら感じた。もっと彼女の演技を観てみたい。そう思わせてくれる俳優だ。
愛なのかLoveなのか、そんな曖昧な群像劇
本作『愛なのに』は、ある意味で大変にシュールな日本映画だ。レビューを書くのはなかなか難しい作品だと思う。実際、私は苦戦している。
けれど、やっぱりテーマは“愛”なんだと思う。たぶん。愛というか、LOVEである。
……いや、自分の感性がまだまだ拙いだけで、うまく解釈することが出来ないでいる。
プラトニックとインモラル、2つの「愛」がひとりの男のもとで交錯する──そんな、お話。などとしか、私は表現できない。
- 王道じゃない恋愛映画を観たい人へ
- 「愛って何?」という問いに、すぐには答えを出せない人へ
- LOVEの“ズレ”や“違和感”に面白さを感じる人へ
道中はあぜ道だか、ラストは心地良い余韻が残る。そんな、お話。
作品情報
- 監督:城定秀夫
- 出演:瀬戸康史、さとうほなみ、河合優実、中島歩、向里祐香
- 公開年:2022年
- ジャンル:ドラマ、群像劇
- 配信:Amazonで『愛なのに』を見る