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アニメ映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』感想・考察|青春と“もしも”が交差する夏の物語

アニメ映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』レビュー評価|夏に観たい詩的アート映画

現代の映像技術で実現した、アニメだからこそ表現可能な詩的で美しいアート映画

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』

タイムリープものSFファンタジーかと思いきや、思春期特有の emotional fluctuations(感情の変動:適切な日本語がなかった)を”if”、”もしも”という表現方法で描いた、メッセージ性の強い抽象画的な elusive(つかみどころのない、はかない)作品。

本記事の主な論点
  • 『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は、青春の「もしも(if)」をテーマにした抽象的で詩的な作品である
  • 花火の形や時間の巻き戻しは、思春期特有の感情の揺れ動きの象徴として描かれている
  • 単なるタイムリープSFではなく、映像美と音楽で感情を“感じさせる”アート映画として成立している
  • 観る世代や視点によって解釈が大きく異なる、多様性のある作品である

 

▶ 読みたいところだけチェック

 

夏である。

夏の風物詩と言えば、アニメ映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』だ。トトロかサマーウォーズくらいには有名である。有名なのか?有名だよね?有名と言え!

www.ikakimchi.biz

どちらかと言えば、どちらかと言わなくても楽曲の方が有名だったりする。なにしろ再生数は6.8億回だ。(2025年8月時点)

原作は岩井俊二の純文学作品。純文学だよね?原作は読んでないからわからないのだけれど。映画作品の雰囲気から、私そうは認識した。

子どもの頃こそ打ち上げ花火を見るのは好きだったが、大人になってからはめっきり見に出かけなくなった。さいきんは自宅の部屋で外から遠くに聞こえるどぉんどぉんという炸裂音に耳を傾けるくらいだが、それはそれで、趣深くてよろしいものなのだ。

夏と花火は、切っても切り離せない関係にある。

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』作画と声優陣の魅力

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は難解ではないが、物語は詩的で多様な解釈ができる作品だ。視聴者の感想もさまざまだろう。レビューを書くにあたって、再視聴した。夏だからだ。

当たり前だけど、作画は神がかってる。映像がスゲー綺麗ってことだ。昨今のクールごとの覇権アニメにも、引けは取らない。っていうか勝ってる。

それもそのはず、上に貼り付けてある予告PVを観てもらえばわかるが、そうそうたる、名立たるメンバーが集結して製作した作品だからだ。製作会社もシャフト。『魔法少女まどか☆マギカ』『化物語シリーズ』『五等分の花嫁』などなど、アニメ好きには知られて当然の名作を手掛けている所だ。

www.shaft-web.co.jp

作中では背景までもが細かく描かれていて、明暗のコントラストがはっきりしている。花火のシーンは特に素晴らしい。

声優陣も豪華。この頃から徐々に頭角を現してきたフリーレン(種崎敦美)もいる。

有名どころが多数出演しているのも見どころ、いや聞きどころだ。

 

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』あらすじと映像美の魅力

海辺の町、茂下町で花火大会を控えた夏休みの登校日、クラスメイトたちが「打ち上げ花火は横から見たら丸いのか、それとも平べったいのか」という話題で盛り上がっている。そんな中、典道(CV:菅田将暉)が密かに想いを寄せるなずな(CV:広瀬すず)は、母親の再婚に伴い転校が決まってしまう。なずなは典道を誘い、町から逃げ出そうと試みるが、母親に連れ戻されてしまう。なずなを助けられなかった典道は、もどかしさから彼女が海で拾った不思議な玉を投げつけると、気付けば連れ戻される前の時間へと巻き戻っていた。“繰り返される夏の一日”をテーマにした、青春ラブストーリー。

”なずな”といっても吸血鬼ではない。人間だ。

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』。実はこの作品、アニメ映画化される前に、1993年にフジテレビで奥菜恵主演のテレビドラマ化および実写映画化がされている。

テレビドラマ版は高く評価され、岩井俊二の知名度を一気に高めた作品である。私自身はドラマ版を未見だが、残されたPVを観る限り、当時の実写技術の限界を感じさせる。

2017年になって、日本のアニメ技術の粋を以てして初めて、思春期の揺れる心情をアニメに落とし込んでファンタジーとして映像化できました!みたいな印象を受けた。

映像美もアート性が高いのはそういうことだから?だろうか。

 

本作の抽象的なメッセージと私の解釈

再び視聴して、自分なりに解釈してみた。芸術的もしくは、そういうアート?

ただのタイムリープものじゃなくて、非常に抽象画的な作品であり、「考えるな感じろ」系の感覚を求められる作品だと思う。

ごめんなさい、難しい。これやっぱ難しいなって。難解ではないって前述したけど、めっちゃ難しい!解釈ムズイ!多様な視点から理解する必要がある。

こういう難しい作品を視聴したら、大抵は他の人が書いたレビューとか解説動画とかを参考にするんだけれど、今回は自分が思ったように書いてみることにする。

物語の多様な“if”と青春の揺れ動き

物語の中心人物である典道は、なずなが拾った不思議な石?を使って様々な”if”、つまり”もしも”な並行世界を繰り返し体験する。なずなが典道ではない別の男の子を誘う世界、電車に乗って遠くへ行く世界、花火が丸くも平べったくもない世界…。いろいろな選択を典道は辿る。

思春期にもいろんな選択があって、「もっと揺れ動いていいんだよ?揺れ動かしていいんだよ?心とか、気持ちを」。そんな風に言われた気がした。物語の中にもいろんな”if”のシーンがちりばめられているし、西野カナの楽曲『if』も劇中で流れる。~もしあの日の雨が止んでいたなら~ってやつ。つまりそういうことがメッセージなんじゃないかなって。

花火のシーンもそうだ。球体の花火、平べったい花火、何物にも形容しがたい花火。典道の選択によって、如何様にも姿を変える打ち上げ花火は、その象徴なんじゃないだろうか。

どっちでもいいよ。丸くても平べったくても。こんな変な形でも。典道くんと2人でいられるなら、そんなのどっちでもいい。

作中、なずなの台詞

あなたの未来にはいろんな”if”があって、可能性があって、それは無限大。どんな選択をしても、かまわない。どれが正しくて、どれが間違っているとかなんてない。

大人が見るアニメと言うよりは、どちらかと言えば思春期真っ只中、モラトリアム向けの作品なのかもしれないとも私は思ったけれども。しかしまぁ、大学生ならまだしも中学生や高校生がこの作品を観てそう解釈できるのかというのは疑問であるのだが。しかしそれもまた、この作品への私の勝手な見解であって印象であるから、どうとでも取っていいんじゃないだろうか。感じていいんじゃないんだろうか。私が同じように評価した『ナミビアの砂漠』みたいに。

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で、エンディングの『打上花火』。

ま、余韻はすごいわな。

 

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』こんな人にオススメ!

  • 抽象的かつ芸術的な映像表現を堪能したい人
  • 『ナミビアの砂漠』のような“感じる系”映画やアニメを評価できる人
  • 映像美や音楽の余韻を大切にする映画ファン
  • 岩井俊二ファン

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は、単なる青春ラブストーリーアニメではなく、感情や選択の多様性を美しく描いたアートである。視聴者の一人ひとりが異なる解釈を抱き、その答えは決して一つではない。”if”、という無限の可能性の中で、自分なりの物語を見つけられる人にこそ、この作品は深く刺さるだろう。

私は、そう締めくくることにする。

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映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?(2017年)』の作品情報まとめ(監督・キャスト・配信情報など)

  • 監督:新房昭之、内宣之
  • 出演:広瀬すず、菅田将暉、宮野真守、松たか子
  • 公開年:2017年
  • ジャンル:ドラマ、青春、恋愛、SF、ファンタジー

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