のんびり映画帳

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韓国映画『3.5時間目』感想・考察|学園ファンタジーに描かれる青春と学歴社会のモラトリアム

『3.5時間目』は、脚本・ナ・スジョン、ペ・イル、ユ・ヒジョン、監督・ユ・ヒジョンにより制作された、2021年12月17日公開のファンタジー・ロマンス映画。
3時限目と4時限目の間の10分間が100分間に引き延ばされる不思議な空間「3.5時限目」に迷い込んだ転校生をゾア(Weeekly)、その空間に10年以上閉じ込められている少年をイム・ジソプ、彼女に思いを寄せる同級生をキム・ウジンが演じる。
共演はソン・ヨンギュ、カン・ビョル、クォン・ゴウン、イ・プルムほか。

学園ファンタジー・ミステリーの青春ストーリー

🕰️感想『3.5時間目』レビュー

韓国映画『3.5時間目』は、3時間目授業と4時間目授業とのあいだに存在する不思議な空間である「3.5時間目」を舞台にした学園ファンタジー作品である。

転校生アジン(ZOA)は、誰も知らないその時空時間に迷い込み、そこで長く取り残されているダウォン(イム・ジソプ)と出会う。

 

止まった時間の中で交わされる言の葉、そして沈黙は、単なる青春ドラマの域を超えて”孤独&つながり”を描き出す。ファンタジー設定をストーリーの入り口に持っていきながらも、視聴者に「時間とは何か」「日常の隙間に潜む見落とし」を考えさせる。

学園ミステリー、青春ファンタジー映画が好きな人には刺さる一本であり、ZOAやイム・ジソプといったアイドル出身の若手俳優の演技にも注目が集まった。

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『3.5時間目』あらすじ

名門校に転入したアジンは、ある日、通常の時間割には存在しない「3.5時間目」と呼ばれる奇妙な空間に迷い込む。そこは時間が止まり、外の世界から切り離された静寂の教室であった。そこで彼女は、長らくその空間に囚われていた同級生ダウォンと出会う。二人はなぜ時間が止まってしまったのか、その謎に向き合うことになるが、真実に近づくほどに互いの心の奥に隠された想いも明らかになっていく。

『3.5時間目』ストーリー感想・ネタバレなしレビュー

韓国映画『3.5時間目』のシナリオは、良く言えばシンプルでわかりやすい構造になっている。人間関係に複雑さはなく、サッパリと視聴できるのが特徴だ。一応、ミステリー作品ではあるのだが、サスペンス映画のようなハラハラドキドキ感は控えめな作品である。

本作のストーリーの軸は、時間の止まった世界に閉じ込められてしまった男子生徒・ダウォン(イム・ジソプ)の謎を追うものだ。どうしてダウォンはそうなってしまったのか、真相を突き止めていく。

ミステリーの鍵を一つ一つ紐解いていく感じで、「裏の裏に隠された秘密を暴く!」みたいな爽快感はない。まぁ秘密を暴きはするんだけど、伏線が張り巡らされている、なんてことはなく、そこにカタルシスもなし。

話全体の2/3くらいは、主人公・アジン(ZOA)が現実世界でダウォンの失踪の行方を追いながらも、幻想的で夢空間のような時の止まった時空を行き来し、ダウォンと逢瀬を重ねていくというもの。

終盤にかけてはミステリーらしい、ひっ迫した展開が続くが、全体の大部分はホワホワふわふわした雰囲気が漂う。ダウォンもダウォンで、「早くこの世界から出たいんだ!」みたいなカンジではないし、どこか曖昧で、夢の中の住人のような存在感を放っているのが印象的だ。

視聴前の期待値がミステリーに傾きすぎていると、人によっては肩透かしを喰らうかもしれないが、私は学園ジュブナイルの体験を味わえ、自身の青春をも振り返られて良かった。 ラストのシーンや部分部分で、やや解釈が不能な点も存在するが、全体としては観られる仕上がりになっている。

 

特徴がないことが特徴の韓国映画

ここらで本作の特徴とか、「特筆すべき点」「良い点」もしくは「悪い点」、または「気になったポイント」を書くのだが、しかし本作『3.5時間目』にはそういった突出したものがない。 つまり困ったことに、私は何を書けば良いのかわからない。何を書けば良いのかわからないのなら、何を書けば良いのかわからないということを書けば良いのであると私は考えてみた。

本作は、良くも悪くも平均的すぎる。決して面白くないわけではない。むしろ、面白くなければ面白くないことを「面白くない」と書けるのだが、この作品は普通に面白いのだ。普通に面白いのならば普通に面白いことを書けば良いのだが、大抵の映画はその普通の面白さの中にもちょっと尖った部分とかちょっと凹んでいる部分があるもので、しかし本作はそれがない。のっぺりとして尋常一様である。まるで、左官コテでぴしーっとすべからく水平に出っ張った部分を伸ばしたみたいだ。

ストーリーは王道と言えるほどではなくありきたり、かといって面白くなくはない。むしろ視聴していて退屈でないし、映像や演出面も悪くない。それらは作品そのものを彩ってはいたものの、昨今ではまぁよくある表現方法や表現手法で、別段珍しくもなく格別に良かったと言えるべきものでもない。演技面も可もなく不可もなく。良くもないが悪くもない。 ミステリー部分も、特別に斬新な仕掛けや驚きは少なかった。

まぁ全体的に、本作は「普通に面白い」域に収まっている。作品によっては、ストーリーは良くてもキャストの演技が下手だったり、演出は良いのにシナリオが薄かったりラジバンダリ。

本来ならば、そういうところ、出っ張ったり引っ込んだりしているポイントを感想として書くのだけれど、一貫して本作は平べったい。点数で例えるなら、100点満点中72点位の所を、ストーリー・映像・演出・演技のすべての要素が折れたり曲がったりせず、延々とまっすぐにグラフ上を進んでいるような感じだ。

x軸は時間、y軸は点数を表している2次元平面上を、y=72の直線が走っている。ただし、x>0、100≧yとする

『100点満点中、真っ直ぐ72点を走る映画のイメージ』

つまり韓国映画『3.5時間目』は、そういう作品である。特徴がないのが、特徴と言うべきか。良く言えば良きに普通の作品であり、悪く言えば良きに普通の作品である。

小説でもなんでも、感想の書きやすい作品と、感想の書きにくい作品がある。映画もまたしかりで、本作は感想が書きにくい部類に入ると思う。少なくとも、私にとっては。

一応のセールスポイントとして、韓国の有名アイドルが多数出演しているのがウリなのだそうだが、しかし私は韓国はおろか、日本のアイドルや日本の芸能人ゴシップにすら無頓着であるから、書くに書けない。私は誰が結婚したとか、誰が不倫したとか、心底どうでも良いタイプの人間なので、他国のアイドルなんぞに造形が深いわけがないのだ。 とはいえ、その道のキャストファンにとっては重要な魅力となり得るだろう。

思いつくまま書き綴ったら、なんだか読み辛い文章になってしまった。ここに陳謝する。

.良きに普通の作品レビューはコチラ.

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『3.5時間目』考察|韓国映画に込められたメッセージ性

ここでは、韓国映画『3.5時間目』に込められたメッセージ性を解釈していく。とは言っても、多分そんなものは込められていない。つまりは私の妄想として受け取っていただければ幸いである。単純な、そうだったら奥深いな、という私個人の無理くりな考察である。

学歴社会と「3.5時間目」が象徴する空白

本作の舞台は、多数の人材を大学に送り出す名門高校である。規則正しい時間割に支配された教室は、まさに学歴至上主義の韓国社会を象徴する空間だ。そこでは授業も試験も進路でさえも、すべてが「皆に遅れてはならない」前提で進行していく。そんな学校に突如現れるのが、存在しないはずの時間割「3.5時間目」である。

モラトリアムとして立ち止まる時間の意味

この空白とも呼べる時間は、学歴社会の歯車から外れてしまった者たちを映す鏡のようである。教室の時計が止まり、廊下の生徒たちのざわめきが消える時、我々は社会の流れから切り離される感覚を体験する。そこに閉じ込められたダウォンの姿は、競争に乗り遅れてしまったことで「存在しないこと」にされてしまった、現代の若者たちのファクター(暗喩)にほかならない。

しかしこの映画は、その時間を否定的には描かない。3.5時間目は、前に進むことを強制される社会の中で、大人になるための、ほんのわずかに与えられた猶予期間であり、モラトリアムの象徴である。進めなくても良い、進まなくても良い。むしろその留まりこそが、自分自身を見つめ直す契機になるのだと語りかけているようだ。

ファンタジーの形式をとりながら、映画『3.5時間目』は学歴至上主義に潜む暴力性を否定し、立ち止まる時間の価値を陰ながら肯定している。これは青春映画であると同時に、社会を問い直す寓話(ぐうわ)でもあるのだ。

総評・余韻|『3.5時間目』が問いかける社会批判と青春の価値

『3.5時間目』を観終えた後に残るものは、単なるミステリーの解答ではなく、「立ち止まることの価値を忘れてはならない」という余韻である。韓国社会を覆う学歴至上主義は、常に前進を強いられるシステムであり、その歩みから外れることは、挫折としてみなされがちだ。しかし本作は、むしろその”外れること”にこそ人間の真実が宿るのだと示している。

止まった教室に閉じ込められる経験は、誰にとっても不安で孤独なものであろう。それでも、その時間は無意味でも無駄でもない。次の段階に進むための猶予であり、置き去りにされてきた心を取り戻すための静寂な空白である。

映画『3.5時間目』は、その猶予を肯定することで、競争社会の暴力性を柔らかく批判し、視聴者に「歩けなかった時間を抱きしめる勇気」を与えてくれるのだ。

 

こんな人にオススメ!

  • 学園ファンタジーや青春ミステリーが好きな人
  • 『3.5時間目』の出演アイドル(ZOA、イム・ジソプなど)に注目している人
  • 難解すぎるミステリーではなく、わかりやすく楽しめる作品を探している人
  • 幻想的で静かな雰囲気の青春映画を好む人
  • 派手さよりも、落ち着いた「普通の面白さ」を味わいたい人

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まとめ

韓国映画『3.5時間目』は、突出した個性や派手さはないものの、全体を通して平均点を安定して保つような仕上がりである。ストーリー・映像・演出・演技すべてが「普通に良い」水準でまとまっており、極端に賛否が分かれる作品ではないだろう。ミステリー的な仕掛けはシンプルだが、学園ファンタジーとしての静かな魅力や青春の孤独感を味わえるのがポイントである。

「特徴がないのが特徴」という言い方がもっともしっくりくる作品であり、気軽に楽しめる韓国映画を求めている人に向いている。アイドル出演作として観るのも良し、ジュブナイル的な雰囲気を楽しむのも良し。過度な期待をせず、のんびりと楽しむのがベストな一本である。

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映画『3.5時間目(2021年)』の作品情報まとめ(監督・キャスト・配信情報など)

  • 監督:ユ・ヒジョン
  • 出演:ZOA、イム・ジソプ、キム・ウジン、ソン・ヨンギュ、カン・ビョル
  • 公開年:2021年
  • 上映時間:105分
  • ジャンル:ロマンス、青春、学園、ファンタジー、ミステリー

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