監督は永江二朗、主演は前作から続投の本田望結が務める。
共演に恒松祐里、佐藤江梨子、奥菜恵、芹澤興人ら。2025年6月13日公開。
🚉ラストは予測不可能!ホラーを超えた反転劇!
感想『きさらぎ駅 Re:』レビュー
映画『きさらぎ駅 Re:』は、2022年公開の都市伝説系ホラー映画『きさらぎ駅』の正統続編である。
本作は匿名掲示板「2ちゃんねる」に投稿された怪談スレッド「きさらぎ駅」をモチーフにしており、実際の書き込みを下地にしながらも脚本は完全オリジナル。
ネット発の都市伝説を現代的に再構築したホラー映画となっている。
ちなみに、前作を未視聴でも大丈夫かどうかだが、前作『きさらぎ駅』の視聴は必須であるのでご注意願いたい。
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物語の中心となるのは、前作の主人公・堤春奈(恒松祐里)に助けられた女子高生宮崎明日香(本田望結)。「きさらぎ駅」に迷い込んでから20年を経ても姿が変わらない彼女は、堤春奈を助けるべく、再び「きさらぎ駅」へと向かう。異世界への再挑戦と、その世界に捕らわれたままの仲間を取り戻そうとする、明日香の奮闘が本作の見どころの一つ。
前作の雰囲気を踏襲しながらも、よりスリリングでアグレッシブになって帰って来ている。
衝撃のラストは、前作をも凌ぐ超展開を見せつける!
※本レビューはネタバレを控えておりますが、展開を匂わせる表現を用いています。
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『きさらぎ駅 Re:』あらすじ
そんな明日香の前に現れたのは、彼女の体験を取材しようとするドキュメンタリー監督・角中瞳。瞳との出会いをきっかけに、明日香の心に変化が生まれる。かつて命を懸けて自分を守ってくれた堤春奈や、あの世界に取り残された人々を救いたいという思いが芽生えたのだ。
明日香は再び異界への扉を探し、きさらぎ駅へ足を踏み入れる。そこでは過去の記憶と現在の運命が絡み合い、逃れられない恐怖と新たな試練が彼女を待ち受けていた。
『きさらぎ駅 Re:』タイトル「Re:」の意味とストーリー展開
本作『きさらぎ駅 Re:』の「Re:」というタイトル。続編を意味する「Return」とか「Revival」とかの意味だと思っていたが、少し違った。いや、少なからず”続編”の意味合いもあるのだろうけれど、もっと物語の核心に迫る要素として「Re:」が使われている。鑑賞すると「なるほどなぁ」と納得できる使い方である。
ストーリー自体は単純明快。主人公の宮崎明日香が、堤春奈を含む他の異世界仲間と共に協力しながら、そこからの脱出を目指すというモノ。複雑さはないためテンポが良く、「Re:」に関わる演出も過不足なく盛り込まれていてちょうど良い塩梅。適度な緊張感を保ちつつも、リズミカルなストーリー展開には心地よい没入感を味わえる。ホラー映画なのに。
いくらか論理破綻している部分や現実では通用しないシーンも見受けられるが、それでも軽快なシーン運びのおかげで息切れせずに、暇を持て余さずにラストまで視聴することができた。
『きさらぎ駅 Re:』はホラー要素控えめ?ゲーム的な面白さ
本作『きさらぎ駅 Re:』はホラー映画のジャンルには収まるだろうが、ホラー要素は抑えられている。ジャンプスケア(突然の脅かし)もほぼない。その理由は明確で、向かう異世界は前作のまま、ほぼ同じ怪異が主人公・明日香とその仲間たちを襲う。むしろ、その何度も襲ってくる怪異をいかに捌いていくかに論点が置かれ、そしてそれが本作の面白いところなのだ。恐怖よりも「攻略」に近い感覚が強い。
ゲームで例えるなら、銃弾が限られた中でいかにゾンビを倒すか倒さないかというバイオハザード系より、とにかく銃でもなんでもぶっ放してゾンビを狩っていくというデッドライジング的要素が強い。
なぜゲームに例えたかというと、本作を視聴していて、「なんだかゲームを遊んでいるみたいだ」と私が感じたからだ。作中でも迫りくる怪異をゲームに例えるセリフがあるし、ちょっとした軽やかなアクション要素もあるにはある。
怪異を如何に回避・撃退するか、どうすれば効率よく攻略できるのか、そのためのアクションシーン、それらのファクターが私に「まるでゲームみたいだ」という感想を抱かせたのだ。ホラーでありながら、エンタメ性の高い仕上がりになっている。

『きさらぎ駅 Re:』評価 ― B級映画的な魅力とツッコミどころ
『きさらぎ駅 Re:』は、前作と比べた場合、ホラーとしての恐怖演出よりも、怪異を「どう攻略するか」というゲーム的な快感に重きを置いた作品であった。その分、エンターテインメント性は格段に増しており、視聴していて楽しいが、同時にB級映画らしい粗削りな部分も目立っていた。
たとえば、ドキュメンタリー番組の撮影という設定で人命を最優先にする姿勢を描きながらも、現実ならまず警察に通報すべき場面で、安易にひとんちへ侵入する展開は説得力にかける。火事とかならまだしも、留守中を狙うのはただの不法侵入だ。
また、木造建築の床が崩れて2階から落ちたくらいで全員が死亡する描写や、机や椅子で足場を作るシーンで「足場が足りない」と悩むキャラクターたちに対して、「それらを入れ替えながら渡れば解決できるのでは?」と感じてしまうなど、ツッコミどころが散見された。
映像面についても、2025年公開の作品であるにもかかわらずCGの質感が弱く、まるでプレステ2時代のグラフィックを思わせるクオリティであった。プレステ2は言い過ぎかもしれないが、小規模の爆発シーンくらいは実写で撮ればいいのに、とは思った。素人ユーチューバーでも表現できるような爆発。あの目玉もなんとかならんかったもんか。
もちろん、好意的に捉えるなら意図的にチープさを狙った可能性もあるが、結果としてB級映画的な印象を強める要因となってしまっていた。
衝撃のラストと「復讐」というテーマ
衝撃的なラストを迎える『きさらぎ駅 Re:』なのだが、実は本作のテーマは堤春奈を救い出す感動的なドラマを描くものではない。物語の根底にあるのは、「復讐」である。
近年、ネット炎上が社会問題として議論されることが多い。ネット上の過激な発言や誹謗中傷は犯罪にもなり得るが、一方で”汚い大人の事情”や組織の癒着によって隠されてしまう社会の不正や事件を、世間の注目によって表に引きずり出す役割を果たすこともある。かの某有名学校が良い例だ。警察やメディア、企業が動かない中、ネットの炎上が唯一の突破口になるケースは多い。
ほかにも某フリマアプリでの「すり替え詐欺」問題もそうだ。被害者が運営に訴えかけても「個人間の問題」として無視されていたのに、ネットで炎上した途端に対応が始まった。現代社会の矛盾を象徴する事例と言えるだろう。
私はその、ネットを炎上させることで社会を変えることの是非をここで問うつもりはない。また、ネットの炎上によっていわれのない誹謗中傷を受けることだってあるだろう。
映画『きさらぎ駅 Re:』でも、この「炎上社会」の構造がテーマの一つとして描かれている。
主人公・宮崎明日香はストーリー序盤、ネット上で「オカルトクレーマー」というレッテルを貼られ、誹謗中傷の対象となってしまう。その扱いは、まさに現代のSNS炎上を思い起こさせるものだ。 「オカルトクレーマー」とは言い得て妙だなと私は思ったが、つまり本作はそういう現代の背景を元にして、炎上による復讐を描いた作品であった。明日香は寿司屋で醤油を舐めたとかラーメン屋でニンニクを食ったとか、そんなことで炎上したのではない。「きさらぎ駅の真実」を語ったことにより、ネットの見知らぬ住人から嘘つきだと叩かれまくったのだ。
そして物語のクライマックスでは、ネット炎上を背景にした復讐の物語が鮮烈に描かれる。恐怖の矛先は怪異ではなく、「本当に恐ろしいのは人間」であるということを突きつけてくるのだ。
前作同様に衝撃的なラストが待ち受けており、その結末はぜひ実際に自身の目で確かめてみてほしい。
こんな人にオススメ!
- 前作『きさらぎ駅』を観て衝撃を受けた人
- ホラー映画が好きだが、ジャンプスケアよりストーリー性を重視したい人
- 都市伝説やネット掲示板の怪談に興味がある人
- 「人間の怖さ」を描く作品に惹かれる人
- ゲーム的な攻略要素やアクション寄りのホラーを楽しみたい人
- B級映画的なチープさも含めてホラーを味わいたい人
まとめ(総評)
映画『きさらぎ駅 Re:』は、前作の続編でありながら単なる二番煎じではなく、「復讐」と「炎上社会」という現代的テーマを巧みに盛り込んだ作品である。
怪異との対峙を「攻略」という形で描く新しいホラー演出は評価できる一方で、CGのクオリティや説得力に欠ける展開など、B級映画らしい粗さも目立った。
しかしながら、そのB級映画っぽさも含めて本作の味わいであり、何より衝撃のラストが前作以上に私に強烈な印象を残した。
前作『きさらぎ駅』で心を掴まれた人はもちろん、都市伝説系ホラーや社会性を持ったホラーを探している人にとっては、見逃せない一本出る。82分とコンパクトに仕上がっているので、そのあたりも評価ポイント。サクッとみられる身軽さがある。
映画『きさらぎ駅 Re:(2025年)』の作品情報まとめ(監督・キャスト・配信情報など)
- 監督:永江二朗
- 出演:本田望結, 恒松祐里, 奥菜恵, 佐藤江梨子, 芹澤興人, 瀧七海, 寺坂頼我, 大川泰雅
- 公開年:2025年
- 上映時間:82分
- ジャンル:ホラー, 都市伝説