歴史上の偉人が織りなす痛快な社会風刺劇!
映画『もしも徳川家康が総理大臣になったら』感想レビュー
映画『もしも徳川家康が総理大臣になったら』は、新型コロナ・パンデミックに揺れる現代日本を舞台に、AIで蘇った歴史上の偉人たちが「最強内閣」を組織するという奇想天外・奇妙奇天烈な破天荒ストーリーである。
総理・徳川家康を演じるのは野村萬斎。官房長官の坂本龍馬に赤楚衛二、経済産業大臣の織田信長にGACKT、財務大臣の豊臣秀吉に竹中直人と、実力派俳優による豪華キャストが勢ぞろいする。新人記者・西村理沙(浜辺美波)は、この“夢の内閣”の裏に隠された真実を追う――。

本作を視聴したのは、ちょうど女性初の高市内閣総理大臣が誕生した歴史的な日であった。なかなかどうして、コメディ調でありながら、現代社会を鋭く風刺する社会派エンタメ映画として仕上がっており、政治のあり方を改めて考えさせられる。脚本はユーモアと風刺が絶妙で、それぞれのキャラクターも立っていて良い。
まぁ正直くだらねぇけど笑。
しかし、紫式部(観月ありさ)や聖徳太子(長井短)など、戦国武将から幕末志士、新選組までも多彩な有名人が登場し、歴史好きにはたまらないだろう。特に史実をもとにした台詞や、作中で徳川内閣が打ち出す政策のパロディも巧妙で、フィクションでありながら妙にリアルに感じられるのが不思議だ。享保の改革や楽市楽座といった実際の政策が劇中でうまくに引用されているからであろう。
中学受験で覚えさせられたヤツ。
波辺美波に関して、スタッフロールには彼女の名前が一番最初に流れてくるから、一応は主人公?ということになるのだろうか。坂本龍馬と行動を共にすることが多く、徳川内閣に隠された秘密を暴く役目を演じる。相変わらず彼女は美人ではあるがしかし。
毎回顔違くね?作品のたび別人に見える。それもまぁ彼女の魅力の一つだろう。
ストーリーの中心はやはり、織田信長・豊臣秀吉・徳川家康の三人。永遠のライバルたちが再び現代に蘇り、政治という新たな戦場で再び激突する。
それと坂本龍馬ぜよ。
彼らの因縁が元となって物語は急展開を見せていくのだ。協力か、対立か。そして歴史の英雄たちは、果たして現代日本を救うのか――。
映画『もしも徳川家康が総理大臣になったら』は、コメディとリアリティの狭間で交錯しあうそれぞれの政治的思惑を現代社会に置き換えて、痛烈なメッセージを織り交ぜたエンターテインメント作品である。
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『もしも徳川家康が総理大臣になったら』あらすじ
歴史×現代政治が交錯するストーリー展開
映画『もしも徳川家康が総理大臣になったら』の序盤はコメディ調で軽快に描かれるが、中盤から終盤にかけては一転して、現代社会の矛盾や政治的対立に切り込むシリアスな展開へと移行する。
徳川内閣発足後は即時、歴史上の偉人たち皆が政策に奔走し、次々と革命的な政策を打ち出していく。そのスピード感が歴史的なカリスマ性と相まって魅力的。「そんなわけないだろ」とツッコミたくなる瞬間もあるが、フィクションならではの痛快さに思わず引き込まれてしまう。コメディとしてのテンポも良く、風刺が効いていて飽きさせない。
ツッコミ:聖徳太子が女性(長井短)だったんだけど。
本作では女性が演じているが、史実上の聖徳太子(厩戸皇子)は明確に男性であるとされる。『日本書紀』や『上宮聖徳法王帝説』などの史料でも男性皇族として記されており、「女性説」は学説の主流ではないらしい。ただし、後世の伝承や神格化の過程で、人物像そのものが曖昧になったという指摘も存在するということだ。
まとめると、
- 史実上:男性(厩戸皇子として皇族男子)
- 一部説:伝承や神話化により、後世で性別を含む人物像が曖昧になった可能性
学術的に見れば「女性ではないが、伝承の中で曖昧さが生じた人物」というのが最も正確な理解である。もっとも映画ではエンタメ的な演出として“女性の聖徳太子”が違和感なく溶け込み、作品世界にリアリティを与えている。
まぁ、映画では「聖徳太子」っぽかったからなんでもいい。
物語は目まぐるしく展開する。打ち出す政策への反対意見、対する攻防、信長人気、民衆の反応、メディアの掌返し、などなど、フーリエ変換する前のアナログ波長みたいな波の様相だ。現代社会を象徴するようなテーマが次々と展開される。揺れる政治ドラマは。まるで現代日本の縮図そのものだ。
私はフーリエ変換の単位は落としたんだけどね。
コロナ対策が一旦は落ち着きを見せ、徳川内閣の改革が本格化していく中で、物語は急変する。これまでの快進撃はおさまり、偉人たちの間に潜む因縁が再び表面化し、国家の未来をめぐる新たな衝突が生まれるのだ。
本作は、歴史上の出来事やキャラクターたちの関係性を巧くストーリーに落とし込んで、後半は様相を変えていく。前半では偉人たちのユーモラスな活躍を、後半では緊迫した対立と謎解き要素を描く二部構成のような映画である。笑いと緊張、歴史と現代、理想と現実――二度おいしい、見どころ満載な映画作品である。
GACKTが演じる織田信長の存在感が圧倒的
映画『もしも徳川家康が総理大臣になったら』の中でも、最も印象的だったのがGACKTである。いや、GACKT様である。織田信長役としての圧倒的な存在感、声、オーラ、立ち居振る舞いのすべてが完璧で、スクリーンに映るだけで場面が締まった。まさに“カリスマ”という言葉が似合うキャスティング。
作中では冷徹さと美しさを併せ持つ信長像を見事に体現しており、登場するたびに空気が変わる。正直、他のキャラクターが霞むほどであった。
正直、GACKTにしか目がいかんかったんやけど。
是非に及ばず。
私は彼のファン歴が長い。ヴィジュアル系バンドMALICE MIZER時代から聴いており、有名曲は「月下の夜想曲」だが、個人的には「Au Revoir」だ。
まぁどっちも歌えるんだけど。
音楽だけでなく、俳優としてのGACKTも年々深みを増しており、本作でもその演技力が遺憾なく発揮されている。
ふぅ……。趣味が走ってしまった。
しかしながら、カッコよさにおいて、本作では右に出る者はいない。彼はビデオクリップやライブでも寸劇?をやったりするから演技も申し分なく、音楽アーティストだけあって声の張りも他と違う。さらにはピアノが弾けるし英語・中国語(二種)・フランス語と堪能で、肉体もムキムキですべてが洗練されている。
まさに「現代の織田信長」と呼ぶにふさわしい。
正直、私の中では本作はGACKT様を見るだけの映画だ。もはや彼さえいれば話なんぞどうでもいい。どうでもいいのだ。圧倒的存在感、圧倒的カッコよさ、圧倒的魅力を放ち、私をノックアウトさせた。GACKT様が出演されなければ、本作は視聴しなかったかもしれない。それくらいだ。カリスマ性とビジュアル、そして独特の声が作品全体を支配している。
「目を覚ませええぇぇ!(# ゚Д゚)」
この一言に象徴されるように、GACKT演じる織田信長は、“狂気と理性の狭間”を完璧に演じきっていた。
本作が投げかける現代の“問い”
かなり私自身の趣味に寄って(酔って?)しまったので、真面目にレビューしていこう。
映画『もしも徳川家康が総理大臣になったら』は、予想を超えて痛快な作品であった。軽快なコメディかと思いきや、現代社会の構造に真正面から切り込む風刺映画としての顔をも併せ持っているのだ。
政治や社会に興味のない人にこそ、視聴してほしい。
本作は、与党に批判するだけで対案を出さない野党、国会で居眠りする政治家、くだらない情報に踊らされる有権者、選挙に行かず他人任せにする国民、知名度だけで候補者を選ぶ構図、そしてマスコミの手のひら返し――こうした現代日本の“政治と社会の隙間”をコミカルにそして鮮やかに映し出している。実際に、他レビューでも「現代人の無関心がヤバいレベル」との声が上がっており、社会派エンタメとしての意義も指摘されていた。
本作品が提示するメッセージは明快である。「他人任せではなく、自分に期待する」――これこそが、民主主義国家において一人ひとりが果たすべき役割なのだと訴えているのだ。それこそが、民主主義国家において一人ひとりが果たすべき役割なのだと本作は訴えている。有り体に言えば、まさに「選挙に行こう」「主体的に社会を見よう」という呼びかけである。
丁度、女性初の高市早苗、新内閣総理大臣も誕生したことだし(執筆時現在)。
政治的無関心、情報の氾濫、誤情報、政策よりも見た目・話題性や知名度で選ばれる候補者――本作はそれらを笑いながらも鋭く批判し、あなた自身の立ち位置を考え直させる構図となっている。レビューサイトでも「コメディだと思っていたら、考えさせられた」との声が多く、意外な深みを備えた作品と評価されている。
結論として、映画『もしも徳川家康が総理大臣になったら』は、“笑えて、考えさせられる”映画である。軽快なエンタメで終わらず、批評精神を持って現代社会を映す鏡ともなっている。鑑賞後には、あなたも“自分自身の政治的な期待”を点検してみたくなるだろう。
こんな人にオススメ!
映画『もしも徳川家康が総理大臣になったら』は、歴史×現代社会という異色のテーマをコミカルに描いた風刺エンターティンメント作品である。堅苦しい政治映画ではなく、笑いながら社会の裏側を見つめ直せる作品だ。
- 政治や社会問題に関心はあるが、難しい話は苦手な人
- 偉人が現代で活躍する設定が好きな人
- GACKT、浜辺美波、濱田岳など豪華キャストの演技を楽しみたい人
- コメディを通して現代社会のリアルを感じたい人
特に「堅い社会風刺映画はちょっと……」という人にもオススメ出来る作品だ。軽やかに笑わせつつ、見終わった後にどこか胸の奥に残る“問い”を投げつけてくる。
まとめ ――笑いの裏にあるリアル
本作の魅力は、政治や現代社会を大真面目に語るのではなく、あくまでコメディとして描くことで、メッセージをより明確に伝えているところがポイントである。笑いながら気づかされる現実――それこそが『もしも徳川家康が総理大臣になったら』の真骨頂である。
笑いの中に潜む皮肉、ふとした台詞の奥に見える現代への批判。重すぎず、説教くさくもない。そのバランスがまた絶妙であり、直接的な社会風刺が苦手な層にも自然と届きやすい作りになっている。政治を難しく語るよりも、“笑って考えている”時の方が、しばし本質を突く。そう感じさせてくれる映画である。
最後まで視聴し終えたとき、あなたもきっと思うだろう。「政治って、意外と自分のすぐそばにある」と。
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映画『もしも徳川家康が総理大臣になったら(2024年)』の作品情報まとめ(監督・キャスト・配信情報など)
- 監督:武内英樹
- 出演:浜辺美波, 赤楚衛二, GACKT, 観月ありさ, 竹中直人, 野村萬斎
- 公開年:2024年
- 上映時間:110分
- ジャンル:ドラマ, コメディ