ヤン・ズーシャンが眩しい!中国版『怪しい彼女』こと映画『20歳よ、もう一度』レビュー
中国映画『20歳よ、もう一度』感想・あらすじ・見どころ
中国版『怪しい彼女』――映画『20歳よ、もう一度』は、人生を20歳からもう一度やり直す奇跡を描いたヒューマンドラマである。70歳の沈夢君(グイ・ヤーレイ)は家族に疎まれ、静かな生活を送っていた。そんなある日、街角の写真館で不思議な体験をし、なんと20歳の姿に若返ってしまう。若き日の彼女“孟テレサ”(ヤン・ズーシャン)として再び人生を歩みだしたテレサは、かつて夢見た歌手への道に挑戦し、孫(チェン・ボーリン)との交流を通じて、忘れかけていた情熱を取り戻していく。

『怪しい彼女』シリーズ4作目は、ついに四千年の歴史を持つ中国へ。邦題は『20歳よ、もう一度』。私のメインのサブスクはAmazonプライムなのだが、この作品は配信されていない。Amazonにないから!Amazonにないから!YouTubeに400円払ったわ!それでも観たかった!
後悔はない。反省もしていない。
日本版『あやしい彼女』を観てから時を経て、ベトナム版を発見し、次に本家・韓国版、そして今回の中国版へとたどり着いた。韓国を含む全9カ国のリメイク作品のうち、すでに約半分を制覇したことになる。残るはタイ、インドネシア、フィリピン、インド、メキシコだ。日本語訳の付いたものを見つけるのはなかなか難しそうだが、いつか全ての作品を見届けたいと思っている。
それにしても、4作品を観てすべてレビューを書く人間など、日本広しと言えど私一人くらいじゃなかろうか。あ、日本版は視聴はしたけどレビューは書いてなかったんだった。いっそ、この勢いでまとめて書いてしまおうかと思っている。
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『20歳よ、もう一度』あらすじ
かつて叶えられなかった夢や恋にもう一度向き合うなかで、家族への愛情や人生の尊さをあらためて知っていく。
ポップで華やかな映像演出が魅力 ― 『20歳よ、もう一度』の美術と編集の完成度
本作『20歳よ、もう一度』(中国版リメイク)は、70歳の老婆が突如20歳の姿に若返るというシリーズの基本プロットを共有しつつ、数ある「怪しい彼女」の中でも特に軽快かつ華やかな映像演出を打ち出していた。
映像がアーティスティック。
具体的には、背景舞台や小道具、街中のカット割りなどが明るく彩られており、序盤の「年代が切り替わっていくシーン」や若返った直後の場面では、編集・構図・色彩ともに“ポップさ”を強く感じさせる。例えばレビューサイトでは「4作品の中で最も情感に溢れ明るく美しい画面」だという指摘がなされている(私調べ。逆にいえば日本で観られるのは韓国、日本、中国、ベトナムということか?)。BGMも「プリティーウーマン」の楽曲がかけられ、またビートルズのアビィ・ロードのジャケットをオマージュしたシーンなど、さまざまなアイディアが散見された。
また、後述するが、キャスト面でも若返った主人公“沈夢君”を演じるヤン・ズーシャンの美貌と振る舞いが画面の華を引き立てており、特筆すべき点だ。
見惚れるほどの美人。
さらには、シリーズ共通のテーマである「取り戻される青春/家族の絆」を中国という舞台において再構築しており、例えば本作では孫とのバンド活動、写真館という象徴的モチーフとともに、中高年・若年世代それぞれの生活背景が雑多ながらも明るく描かれている。
このように、本作はシリーズのフォーマットを保ちながらも、映像美・演出・編集のすべてにおいて“軽やかさ”と“華やかさ”を強めており、その意味で私が視聴した「シリーズの中で最もポップで華やかな演出が際立つ作品である」という表現が適切だろう。
何度観ても飽きない理由 ― 『怪しい彼女』シリーズに共通する魅力
『怪しい彼女』シリーズを4作品連続で観てレビューを書いていると、検索エンジンンにコピーコンテンツサイトと誤認されそうな気もしてくるが、それはさておき不思議なほどに全く飽きが来ない。むしろ毎回新しい発見があるのだ。
同じことを繰り返し楽しめるという点では、もはやゲーム「ドラゴンクエスト」シリーズのようである。私は『ドラクエⅣ』をFCからSFC、PS、DSと何度もクリアしてきたし、『Ⅲ』もファミコンからSwitch版までプレイしてきた。今はSwitch2の『ドラゴンクエストⅠ&Ⅱ』を絶賛進行中である。小説では森見登美彦が大好きで、『夜は短し歩けよ乙女』は4回以上読み返したし、『四畳半神話体系』『太陽の塔』も複数回読了。映画ならアニメ作品『心が叫びたがってるんだ。』や『東のエデン』を、DVDやブルーレイを購入して何度も観ている。
これらはもはや、人生のバイブルだ。
何度も触れることで作品への理解が深まり、プレイするたびに、読むたびに、観るたびに新しい発見がある。『怪しい彼女』も同じだ。シリーズ4作品目にしてようやく気づいたことがあった。それは、主人公の老女が孫息子を特別扱いする理由だ。彼女は若い頃、歌手になるという夢を諦めた。その夢を孫が音楽活動として体現しているため、応援したい気持ちと、叶わなかった願いへの郷愁が重なるのである。孫は祖母の過去を知らないが、彼女にとっては「もう一度夢を託せる存在」であるのだ。
シリーズを重ねるごとに、このテーマの普遍性を痛感する。主人公は一時的に若返り、再び青春を取り戻す。しかし物語の最後には、結局は元の老婆に戻り、その姿はどの国のリメイクでも共通して描かれる。そして、彼女は必ずこう語るのだ──「人生をやり直せても、きっと同じ道を歩むだろう」。
もしも若返られるなら、私は同じ轍は踏まんがな。
誰しも一度は「人生をやり直せたら」と考えるだろう。だが、繰り返せないからこそ今が尊く、過去が輝いて見える。『怪しい彼女』シリーズは、そんな人生の儚さと温かさを描いた作品群なのだ。主人公は若返ることで、自分にとって本当に大切なもの──家族、息子、孫──を再確認する。そして観る者もまた、同じ思いを胸に抱く。
国は違えど、皆同じ。
飽きない理由は単純だ。シリーズを通して描かれる「人の想い」と「時間の重み」、生きていれば誰もが必ず経験する変わらないもの──変わらないこと──それが、何度観ても心を打つからである。
…ん…知らんけど。
ヤン・ズーシャンの美しさが際立つ ― 中国版『怪しい彼女』の魅力
今回視聴した中国映画『20歳よ、もう一度』は、『怪しい彼女』シリーズの中でも特に主演のヤン・ズーシャンが圧倒的な存在感を放っている作品である。個人的な感想ではあるが、私が視聴した4作品で最も美しいヒロインと言っても過言ではない。瑞々しい透明感に加え、どこか儚さを感じさせる表情が印象的で、映像に映るたびに目を奪われる。若返り後の“テレサ”という役柄に、彼女ほどの説得力を持たせられる俳優は少ないだろう。
正直タマラン。ふつくしぃ……。
また、老女・沈夢君を演じたグイ・ヤーレイの演技も見逃せない。彼女の表情には年輪を重ねた女性の美しさと品格があり、若き日のヤン・ズーシャンとの対比が非常に効果的である。大陸映画ならではの深みと気品を兼ね備えたキャスティングといえる。
グイ・ヤーレイ、この人も若い頃は絶対に美人だ。
他作品との違い
他国版との違いとして印象的なのは、作中でオマージュの対象となる人物である。韓国版や日本版ではオードリー・ヘップバーンをモチーフとしているが、中国版ではテレサ・テンが象徴的に扱われている。テレサ・テンは台湾出身ながら中国圏全体で愛されており、日本でもかつて絶大な人気を誇った歌手だ。本作では、彼女の代表曲「つぐない」の中国語バージョンが使用されており、日本の観客にも馴染みやすい演出となっている。しかも「つぐない」は荒木とよひさ作詞・三木たかし作曲の、思いっきり日本の曲であり、日本市場を意識した選曲である可能性も高い。
一方で、韓国版や日本版に存在した路上ライブのシーンが、中国版では描かれていない。代わりに地下ライブ会場でのパフォーマンスに変更されており、これは中国の文化的・社会的な制約を反映したものと考えられる。中国では路上ライブしちゃダメなのだろうか?また、シリーズで印象的な「下の世話」に関するユーモラスな描写も、検閲上の理由からなのか、省かれていた。
とはいえ、こうした違いが作品の魅力を損なっているわけではない。むしろ、中国映画らしい美術・照明・色彩設計と、ヤン・ズーシャンの美しさが相まって、独自の完成度を誇るリメイクに仕上がっている。『怪しい彼女』シリーズの中でも、ビジュアル面で最も印象的な一作であることは間違いない。
こんな人にオススメ!
中国版『怪しい彼女』、『20歳よ、もう一度』は、明るくテンポの良き演出と美しい映像が魅力の作品である。「華やかさ」や「ノスタルジー」を楽しみたい人にぴったりだ。
- ポップでカラフルな映像演出が好きな人
- ヤン・ズーシャンの魅力を堪能したい人
- テレサ・テンの音楽や中国映画の雰囲気を味わいたい人
まとめ
中国映画『20歳よ、もう一度』は、『怪しい彼女』シリーズの中でも特に華やかで、映像美と音楽の融合が印象的な一作である。細部にまでこだわった美術や編集、そして主演ヤン・ズーシャンの美貌が、作品全体をより輝かせている。各国版の違いを比較しながら観ると、新たな発見があるだろう。シリーズを通して観る価値のある、中国リメイクの秀作である。
🎬 『20歳よ、もう一度』はYouTube の映画とテレビ番組で配信中
映画『20歳よ、もう一度(2015年)』の作品情報まとめ(監督・キャスト・配信情報など)
- 監督:レスト・チェン
- 出演:ヤン・ズーシャン, グア・アーレイ, チェン・ボーリン, ルハン, ワン・ダーシュン, ザオ・リーシン, リ・イージュアン, イン・ハン, シャ・ズーハン, リン・チョン
- 公開年:2015年
- 上映時間:132分
- ジャンル:コメディ, ファンタジー, ドラマ, 青春