のんびり映画帳

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『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』感想レビュー|ゲーム原作映画の完成形だった

映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は、任天堂のゲームシリーズ「スーパーマリオ」を原作とした2023年公開のフルCGアニメーション映画。
イルミネーションと任天堂が共同制作し、マリオとルイージが異世界でクッパと対峙する物語が描かれる。
原作ゲームの世界観と演出を忠実に再現した点が大きな特徴である。

🍄ゲームを映画に完全移植!マリオの世界が躍動する

映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』感想レビュー|原作愛に満ちたアニメーション映画

2023年公開の『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は、任天堂を代表するゲームシリーズ「スーパーマリオ」を原作としたフルCGアニメーション映画である。制作はイルミネーションと任天堂の共同体制。ゲームの文法や世界観を尊重しながら、映画として成立させることに注力した作品である。

主人公マリオの声を英語版ではクリス・プラット、日本語吹替では宮野真守が担当。陽気さと不器用さを併せ持つマリオ像を、それぞれ異なるアプローチで表現している。弟ルイージ役は英語版がチャーリー・デイ、日本語版が畠中祐。さらに、ピーチ姫はアニャ・テイラー=ジョイ(日本語版:志田有彩)、クッパはジャック・ブラック(日本語版:三宅健太)が演じ、キャラクター性の強さが際立っている。

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は、物語の独創性を追求するというよりも、マリオというIP(intellectual property rights:知的財産)が長年積み重ねてきた記憶や体験を、いかに映像化するかに主眼が置かれた作品。そのため本作は、「映画としてのマリオ」であると同時に、「体験を再生するマリオ」として成立している。

ファミコンでゲームをプレイする中年男

ファミコンでゲームをプレイする中年男

おなじみ任天堂のあのキャラクターがムービーの世界へ鮮やかに登場!ずっと気になっていたが、果たして観てなかった。そうしたところ、ついにこの度Amazonプライムビデオで見放題となり、そうとなれば視聴しない手はない、いや、視聴しない目はないのだ。そりゃ観ようこりゃ観よう。

劇場公開前は正直に申し上げると、本作はイロモノ(正統派ではない)だろうと私は思っていたのだが、いざ蓋を開けてみればゴールデングローブ賞では複数部門でノミネートされ、商業アニメとしては異例の注目度を集めた。

話題性だけでなく、制作姿勢そのものが真剣であることが伝わってくる。

興行成績が全てではないものの、2023年7月15日時点の興行収入は北米市場で5億7414万ドル、海外市場で7億8117万ドルを記録。ゲーム原作の映画(英語版)の中で歴代最高額、アニメーション映画では歴代2位の興行収入を記録(参考:ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー - Wikipedia)。日本でも140億円と大ヒットした。

世界に誇る任天堂IPとしてのマリオの姿が、確かに存在していたのだ。

ゲームの雰囲気を損なうことなく、マリオがムービーとして縦横無尽に暴れ回る本作は、シリーズファンはもちろん、マリオ未経験者にも十分に開かれた作品である。原作への敬意と娯楽性を両立させた、非常に完成度の高いアニメーション映画である。

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『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』あらすじ

ブルックリンで配管工として働くマリオとルイージは、仕事中のトラブルをきっかけに、謎の土管を通って異世界へと迷い込む。そこで二人は離れ離れになり、マリオはキノコ王国へ、ルイージは闇の国へと流れ着く。
キノコ王国では、世界征服を狙うクッパの脅威が迫っていた。ピーチ姫は各国と手を組み対抗しようとしており、マリオもまた、行方不明となった弟を探すため、そして王国を守るために戦いへ加わることになる。
一方のルイージは、クッパの城で囚われの身となりながらも、マリオとの再会を信じて耐え続ける。兄弟の絆を軸に、ゲームでおなじみの世界やキャラクターを巡りながら、物語はクッパとの決戦へと向かっていく。

万人向けに設計された「マリオのはじまりの物語」

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は、スーパーマリオという国民的キャラクターを、いかに物語として映像化するかという点が、私の最大の関心事であった。結論から言えば、本作はシリーズの原点を描く「ビギニング」として位置づけられる作品である。マリオと弟ルイージがどのようにしてキノコ王国へ辿り着き、クッパと対峙する運命に巻き込まれていくのか、その冒険譚が明快に描かれている。

よく考え抜かれたシナリオで関心した。

上映時間は約90分とコンパクトで、テンポは終始軽快そのもの。ストーリー構成は非常にわかりやすく、年齢やゲーム経験を問わず理解できる一方で、映像密度と情報量は高く、内容は決して薄くない。2D横スクロール的なアクションから3Dアクション、さらにはマリオカートの要素まで、シリーズの歴史を横断するゲーム的表現が随所に盛り込まれている。

「?ブロック」や「パワーアップキノコ」といったおなじみのギミックも多数登場するが、要素過多で混乱することはなく、全体として非常によく整理されている。各シーンで流れるBGMも、それぞれのゲームシリーズを想起させるものが使われており、ファンであれば自然と頬が緩む構成だ。というか、ゲームをプレイしたことがない人でも、一度は聴いたことがあるだろう。

まさにマリオの世界そのもの。

登場キャラクターも豊富で、ピーチやクッパはもちろん、ドンキーコング、クリボー、ノコノコ、ヘイホーといった敵キャラクターに至るまで、マリオシリーズの顔ぶれが一堂に会する。これまで展開されてきたマリオIPの広がりを、そのまま映像で体感できる点は本作の大きな特徴である。

描かれていないキャラクターはいないのでは?というキャラクター数だ。

アクション表現も非常にダイナミックでアクロバティック、ジャンプして踏みつけるというゲーム特有の爽快感が、映画的なスケールで再現されている。本作は映画でありながら、同時に「上質なゲーム体験」でもある。

総じて本作は、シリーズファンはもちろん、マリオにほとんど触れてこなかった人、あるいは家族で映画を楽しみたい層にまで広く勧められる、明確に万人向けのアニメーション映画だろう。

 

ゲーム体験を映画文法へ翻訳した圧倒的な映像演出

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の見どころを挙げ始めると切りがないが、本作の最大の強みは、ゲーム的体験を映画的表現へと正確に変換している点にある。ファイヤーフラワーによる姿の変化ひとつを取っても、単なる色替えではなく、質感やライティングを含めたCG演出として成立しており、アクションの意味づけを明確にしていた。

ファミコン時代からの因縁の対決、ドンキーコングとの決闘シーンでは、落下=敗北というルールが視覚的に強調され、どこか『大乱闘スマッシュブラザーズ』を想起させる空間設計がなされている。カメラは引きと寄りを巧みに使い分け、キャラクター同士の距離感と緊張感を常に視聴者に提示する。一瞬たりとも画面から目を離せない構成だった。

画面下に”%”が目に浮かぶようだ。

マリオカートのシークエンスでは、バナナの皮によるスリップ、甲羅によるクラッシュといったおなじみのギミックが、アクション映画としての速度感を損なうことなく組み込まれている。雲海を抜けた先に広がるレインボーロードのカットは、色彩設計とスケール感が際立つ名場面であり、極め付けは青甲羅(トゲゾー)による攻撃がさく裂!視聴者の記憶に強く刻まれる。

こうした演出の積み重ねにより、本作はマリオシリーズのエッセンスを網羅的に提示している。一本の映画を通して、シリーズ全体の構造と魅力が自然に理解できる点は、非常に設計された娯楽性であった。

本作さえ視聴すれば、マリオシリーズの全てが解ると言っても過言ではない。

また、ルイージ単独のシーンでは、陰影を強調したライティングや閉鎖的な空間演出が用いられ、『ルイージマンション』を想起させるホラー寄りの表現が見られる。前述の『大乱闘スマッシュブラザーズ』もそうだが、スピンオフ作品の文脈まで射程に収めている点も、本作の情報密度の高さを物語っているのだ。

総じて本作は、見どころを探す行為そのものが鑑賞体験となる作品であり、映画でありながら同時にゲーム体験でもある。敢えて一言でまとめるならば、「ゲーム×ムービー」というハイブリッド体験を、極めて高い完成度で実現した作品であると言える。

 

あえて挙げるなら気になった点

結論から述べておくと、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』はこれまで私が書いてきた通り非常に完成度が高く、欠点を明確に指摘するのは難しい。そう言ったうえで、あえて「気になった点」を挙げるとするならば、それは本作が徹底して“マリオ体験”に振り切っているという点である。

本作のストーリー構造は極めてシンプル。キャラクターの内面を深く掘り下げるタイプのドラマ性は抑えられている。人間関係の葛藤や心理描写を重視する映画に慣れている、あるいは好きな人にとっては、やや物足りなく感じる可能性はあるだろう。

あくまで、可能性である。

ただしこれは欠点というよりも、明確な設計思想の結果だ。本作は複雑な物語を語るタイプの映画ではなく、誰もが知るスーパーマリオという存在を、誰もが理解できる形で再提示することを目的としている。だから、ストーリーは意図的に簡潔に保たれているのだ。

映像を楽しむのが、本来の目的だろう。

また、もう一つ気になった点というか、物足りなさを述べるなら、特定のキャラクター、特に脇役たちの活躍をもっと見たかったと感じる場面は、欲を言えばある。ドンキーコングやルイージの描写について、もう一段踏み込んだ展開を期待した人もいるかもしれない。

ルイージはほぼ牢屋だったしね。

とはいえ、それらは「もっと観ていたい」と思わせるがゆえの欲であり、作品の完成度を損なうものではない。むしろ本作は、上映時間90分という過不足のない密度で走り切ることを選択した、非常にクレバーな娯楽映画である。

 

こんな人にオススメ!

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は、特定の層に向けた作品というよりも、世代やゲーム経験を問わず楽しめるよう設計されたアニメーション映画である。以下のいずれかに当てはまるなら、本作は間違いなく視聴対象に入る。

  • ファミコン時代からマリオに親しんできたシリーズファン
  • マリオは知っているが、ゲームはあまり遊んでこなかった人
  • 家族や友人と安心して観られる娯楽映画を探している人

ゲーム原作映画に対して懐疑的な人であっても、本作は「よくできた例外」として受け止められる可能性が高い。マリオという存在を知っているだけで、十分に楽しめる一本である。

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総評|マリオという体験を映画にした最適解

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は、ゲーム原作映画が抱えがちな問題点を避けながら、原作への敬意と娯楽性を高い次元で両立させた作品である。複雑なドラマや深読みを求める映画ではないが、その代わりに、誰もが知るマリオの世界を、誰もが楽しめる形で提示している。

映画としての完成度、映像表現の工夫、そしてIPの扱い方。そのいずれにおいても非常に堅実で、結果として「これでいい」ではなく、「これが正解だった」と言える仕上がりだ。

マリオを遊んだことがある人にとっては記憶を呼び覚ます体験であり、初めて触れる人にとっては入口として機能する。本作は、マリオという存在を次の世代へと橋渡しするための、ひとつの完成形であると言えるだろう。

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映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年)』の作品情報まとめ(監督・キャスト・配信情報など)

  • 監督:マイケル・ジェレニック, アーロン・ホーヴァス
  • 出演:アニャ・テイラー=ジョイ, ジャック・ブラック, キーガン=マイケル・キー, セス・ローゲン, フレッド・アーミセン, クリス・プラット, チャーリー・デイ
  • 公開年:2023年
  • 上映時間:87分
  • ジャンル:アニメ, アクション

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