のんびり映画帳

映画レビューブログ「のんびり映画帳」。B級映画、配信作品、名作から地雷まで本音レビュー。感想だけでなく、独自の意見や考察を交えます。できるだけネタバレは控えています。

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映画『マイ・インターン』は本当に名作か?高評価の理由と“働きたい”という違和感【感想・考察】

『マイ・インターン』は、監督・脚本をナンシー・マイヤーズが務め制作された、2015年9月25日公開(原題:The Intern)のヒューマン・コメディ映画。
ニューヨークのファッション通販サイトを運営する若き女社長のもとに、40歳年上の「シニア・インターン」として70歳の男性が配属される。当初は彼を疎ましく思っていた社長が、彼の豊富な人生経験と誠実な人柄に触れ、公私にわたる信頼関係を築いていく姿を描く。インターンのベンをロバート・デ・ニーロ、社長のジュールズをアン・ハサウェイが演じる。
共演はレネ・ルッソ、アンダーズ・ホーム、アダム・ディヴァイン、アンドリュー・ラネルズほか。

🤝世代を超えた友情と、静かなリスペクト。

映画『マイ・インターン』感想・レビュー|働くことの意味を問い直す一作

映画『マイ・インターン』(2015年)は、急成長するファッション通販会社を舞台に、“働くこと”と“年齢を重ねること”を穏やかに描いたヒューマンドラマである。主演はロバート・デ・ニーロアン・ハサウェイ。世代も立場も異なる二人が築く関係性が物語の軸となる。

デ・ニーロが演じるのは、70歳でシニアインターンとして社会復帰するベン。対するアン・ハサウェイは、仕事と家庭の狭間で揺れる若きCEOジュールズを演じる。コメディの装いをまといながらも、本作の本質は世代間ギャップの笑いではなく、互いを尊重する姿勢にある。

ベンの落ち着きと品格、そしてジュールズの焦燥と責任感。対照的な二人が少しずつ信頼を築いていく過程は、観る者に「理想の上司とは何か」「働き続ける意味とは何か」を静かに問いかける。

マイ・インターン(字幕版)

マイ・インターン(字幕版)

  • ロバート・デ・ニーロ
Amazon

 

実は本作は、公開当時から気になりつつも、ずーっと観たくて観られずにいた。Amazonプライム・ビデオとかNetflixを日常的に利用し始めたのはごく最近のことで、気が付けば公開から10年経っている。ウォッチリストに入れたまま眠らせていたが、見放題対象になったことをきっかけにようやく視聴したのだ。

コレがあのロバート・デ・ニーロかぁ
 

率直に言えば、満足度は高い。もっと早く観ていればとも思うが、10年という時間が経った今だからこそ響く部分もあった。作中でベンが面接で「10年後の夢は?」と問われるシーンがある。公開からちょうど10年。80歳を超えたロバート・デ・ニーロは、いま何を思うのか。そんな現実と作品が重なる瞬間もまた、この映画の余韻の一部である。

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『マイ・インターン』あらすじ

70歳のベンは、退職後の静かな生活に物足りなさを感じていた。そんな中、若者向けファッション通販会社の“シニア・インターン制度”に応募し、現場に復帰する。
配属先は、仕事に全力投球する若き女性CEOジュールズ。世代も価値観も異なる二人は、最初こそ距離があるものの、ベンの誠実さと経験が次第に周囲の信頼を集めていく。
急成長企業のプレッシャー、家庭との両立、経営判断の迷い。揺れるジュールズを、ベンは押しつけがましくなく支えていく。
本作は、世代を越えた友情と働く意味を穏やかに描くヒューマンドラマである。

『マイ・インターン』はコメディか?軽やかさの奥にあるテーマ

映画『マイ・インターン』は、終始軽快なタッチで描かれながらテンポよくストーリーが進んでいく。コメディと銘打ってはいるが、そんなに滑稽でもない。愉快ではある。むしろヒューマンドラマにユーモアを織り交ぜた構成であり、「軽やか」という言葉が近い。

ただし“軽い”=“内容が薄い”ではなく、本作が描くのは、世代を超えた友情と相互リスペクトである。シニアインターンとして働き始めた70歳のベンは、若い社員たちを見下すことなく、まず理解しようとする。その姿勢こそが物語の核心だ。

老害という言葉が誕生したのはいつだろうか?しかし、亀の甲より年の功。こちらのほうが昔からあるのは確実で、特にアジア圏では儒教や仏教の文化が根付いているため、年配を大切にするという考え方が強い(最近はそうでもないが)。

では年齢を重ねたから偉いのかと言うと、そうではない。経験をどう活かすのかが大事なのだ。ベンは“亀の甲より年の功”を体現するが、彼はそれを誇示しない。むしろ若い世代を尊重し、自らも学ぶ姿勢を崩さない。実に尊敬すべき、いや尊敬できる高齢者だ。

年寄り全員がこうだったらいいのに
 

……。本音が出た。

そして、社内での信頼は自然と積み重なっていく。ベンの誠実さや古き良き時代のスタンスは、やがてベンチャー企業CEOであるジュールズの心をもほぐし、公私を越えた信頼関係へと発展する。この関係性こそ、『マイ・インターン』が高評価を受ける理由の一つであろう。本作は世代を超えた友情が、熱く厚く描かれたドラマティックな映画なのである。

軽妙なタッチの中にも、仕事観や世代間ギャップという現代的テーマが織り込まれている。『マイ・インターン』は単なるコメディ映画ではなく、働くことの意味を穏やかに問い直すヒューマンドラマである。

 

『マイ・インターン』が高評価の理由と、つまらないと言われる理由

映画『マイ・インターン』は、Amazonレビューにおいて★4.6の高評価で、かつ★5が70%以上もある作品である。しかしながら、それでも「つまらない」という声は一定数存在する。もちろん、いかなる映画であっても評価は分かれるものだが、自分なりに考察してみると面白い結果になった。実は本作の魅力と弱点は、表裏一体なのではないか? 加えて、劇中で交わされる「サヨナラ」。なんで日本語?と私は思ったのだが、検索してみると案の定みんなも不思議に思っていたので、それも解説していこう。それではやっていきまっしょい。

なぜ高評価なのか ― ベンという人格の力

本作は、ジェネレーション・ギャップを描いた作品として紹介されることが多い。しかし核心はそこではない。評価を押し上げているのは、ロバート・デ・ニーロ演じるベンという人物そのものだ。

早い話、上述したように年齢を重ねたから魅力的なのではなく、ベンだから魅力的なのである。もちろん、長年の経験が現在のベンの人格を形成しているのは確かだが、実際には尊敬できない高齢者も少なくない。っていうかむしろ多い。だからこそ、若い世代を見下さず、まず理解しようとするベンの姿勢が理想像として強く映る。つまりはそういうことである。

言い換えれば、本作は“世代間ギャップ”よりも“人間性の格差”を描いている。ベンは出来た人間であり、しかも年代が違う。その交流が視聴者に安心感と希望を与える。リアルではなかなか出会えない存在だからこそ、高評価につながったのではないか。これが私なりの結論である。

なぜ「つまらない」と言われるのか

一方で、否定的な意見も理解できる。本作は大きな事件や劇的な対立を軸にしていないため、「盛り上がりに欠ける」「山場が弱い」と感じる人がいる。また物語の展開は比較的王道で、早い段階で着地点が読める構造になっている。そのため「予定調和」「意外性がない」という評価も出る。

さらに「きれいごとに見える」「リアリティが薄い」という指摘もある。だがここが面白い。ベンの理想的すぎる人格が高評価の源泉であると同時に、違和感を生み出すのだ。よーするに、「こんなヤツいねーよ!」ということである。私の考えでは理想を提示したベンの人柄だからこその高評価であると結論に至ったが、それこそがまた低評価になってしまっているという構造である。

なぜ劇中で「サヨナラ」と言うのか

劇中でベンとジュールズは、日本語で「サヨナラ」を交わす場面がある。なぜ日本語?疑問に思った人も多いだろう。私もそうだ。

これはストーリー上で必要だったというより、演出である、と考えるのが自然だろう。

まずはこれはキャラクターのディティールの一環ではないか。ベンは歳相応の落ち着きと教養を備えた人物として描かれており、英語ではなく日本語を用いることで国際的で知的なスパイスをさりげなく加えているのだ。そういう意味では別に日本語でなくてもいい。「안녕히 가세요(アンニョンヒ カセヨ)」でも「Au revoir(オルヴォワール)」でもいい。えっ、「Au revoir(オルヴォワール)」ってフランス語で「さようなら」なの!?

私 MALICE MIZER 好コ
 


どうも調べによると、アメリカ映画では外国語をワンフレーズ差し込むのが、ユーモアや個性を強調する手法の一つであるらしい。本作でもその機能を果たしていると見るのが妥当だろう。そう言えば『ジョン・ウィック』でも外国語いっぱい出てくるな。

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まぁ日本語を使ったのは、強いて言うなら「サヨナラ」のほうが「good-bye」よりも柔らかく軽い響きを持つから、別れの場面をどこか温かく演出する効果がありそうだ。平仮名で書いてみよう。

”さよなら”

ね?

 

『マイ・インターン』を観て、働く意味について思ったこと

ここでは映画『マイ・インターン』の感想というより、この作品を観て私が“思ったこと”を書いておく。整理された結論があるわけではない。ただ頭に浮かんだことを、そのまま置いておく。

ちょっと視野を広げてみて、年を重ねてから「もう一度働きたい」と考える人は少なくないらしい。多分、社会との接点を持ちたいとか、誰かの役に立ちたいとか、生きがいだとか。愛を伝えたいだとか。



作中のベンもまた、居場所を求めてシニアインターンに応募する。

先に言っておくが、私はこの映画の評価に★5を下した。しかし共感できないことがある。それは、「働きたい」という気持ちだ。

一体なにが楽しいのか?
 

できれば私は働きたくない。可能なら早めに引退したい。正直、働いたら負けだとマジで思っている。心底、思っている。そのために貯金をし、NISAで積み立て、BTCとETHとXRPを買い足している。年金も払っているけれど、まぁあてにはしていない。払えと言われるから払っているが、貰えないものだと思っている。信用はしていない。言うなれば税金だアレは。暗号資産のほうがよっぽど信頼できる。

しかしベンは70歳で再び働こうとする。彼はなにも、経済的に困っているわけではない。自宅はそこそこだし、ネクタイなんて何本も持っていれば、電動でクローゼットが動く。40年間勤め上げ、相応の役職にも就き、生活基盤は整っている。それでも彼は社会に戻る。

上でも書いたが、ベンは面接で「10年後の夢は?」と問われる場面がある。作中のベンは70歳だから、10年後は80歳だ。結局その答えは明示されない。しかし、私が答えるならこうだ。

働いていないこと
 

10年後の私は70歳はおろか60歳でもない。むしろ働き盛りのモリモリだ。だがそれは働く理由にはならない。絶対に働いていたくない。現状でも、如何に働かないか、如何に楽をするかを考えている。

私の場合、働いても報われてこなかったという経験が大きいのかもしれない。新卒で世間では有名な大企業に就職はしたものの、内実は超絶が付くブラックだった。半年で辞め、その後も転職を繰り返し、パワハラや過酷な環境に疲弊し、最終的には精神を病んだ。

外から見れば“弱い”で終わる話かもしれない。しかし私にとってはコレが現実である。この社会は、私にとって生きづらい。だからHSPなんだってば多分。

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要するに、『マイ・インターン』で描かれる「働く喜び」はどこか遠い。理解はできるが、実感が伴わない。

で、結局は何が言いたいかというと、何もない。この項の最初に言った通り、ただ思ったことを書いているまでだ。働く理由なんてわからない。お給料以外に何がある?そして私がやることは、お給料を貰えなくても生きていく方法を今のうちに準備しておくことだ。

う~ん……。ただ一つ言えるのは、稼ぐ以外の理由で働ける人がいるという事実に、少し羨望を抱いている自分がいるということだ。

稼ぐ以外に働く理由のある人が羨ましくはある
 

 

こんな人にオススメ!

映画『マイ・インターン』は派手な展開を求める作品ではない。だからこそ、刺さる人には深く刺さる。次のような人には特にオススメできるだろう。

  • 世代間の価値観の違いや、上司・部下の関係性に関心がある人
  • 仕事の意味や働く理由について、ふと立ち止まって考えたい人
  • 刺激よりも、穏やかで温かい人間ドラマを求めている人

逆に、強烈なカタルシスや予想外のどんでん返しを求める人には物足りないかもしれない。本作は静かに沁みるタイプの映画である。

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総評|理想と現実のあいだで

『マイ・インターン』は、世代を超えた友情を描きながら、「働くとは何か」という問いを穏やかに投げかける作品である。理想的すぎる人物像ゆえに評価が分かれるが、その理想があるからこそ多くの支持を集めたのも事実だ。

私は★5をつけた。しかし同時に、ベンのように「働きたい」と思える感覚には共感しきれなかった。それでもなお、この映画を好意的に受け止めている自分がいる。そこに、この作品の強さがある。

働くことに前向きな人にも、距離を置きたい人にも、それぞれ違う角度で何かを残す映画。静かで優しい余韻を求めるなら、一度観ておいて損はないだろう。

 

映画『マイ・インターン(2015年)』の作品情報まとめ(監督・キャスト・配信情報など)

  • 監督:ナンシー・マイヤーズ
  • 出演:ロバート・デ・ニーロ, アン・ハサウェイ
  • 公開年:2015年
  • 上映時間:126分
  • ジャンル:ドラマ, コメディ

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