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『50回目のファーストキス』洋画版 感想・考察|積み上がらない恋はなぜ成立するのか

洋画『50回目のファーストキス』は、監督・ピーター・シーガル、脚本・ジョージ・ウィングにより制作された、2004年2月13日にアメリカで公開されたロマンティック・コメディ映画。
ハワイのオアフ島を舞台に、水族館で働くヘンリー・ロスが、一晩眠ると前日の記憶を失うルーシー・ウィットモアと出会い、毎日初対面から関係を築いていく姿を描く。父マーリンと弟ダグが同じ1日を再現する中、ヘンリーはビデオで彼女に現状を伝える方法を考案する。主人公のヘンリーをアダム・サンドラー、ルーシーをドリュー・バリモアが演じる。
共演はロブ・シュナイダー、ショーン・アスティン、ルシア・ストラス、ダン・エイクロイド、ブレイク・クラークほか。
50回目のファースト・キス

50回目のファースト・キス

  • ダン・エイクロイド
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『50回目のファーストキス』を4コマ漫画で表現


洋画『50回目のファーストキス』(原題:50 First Dates)は、2004年に公開されたラブコメディ映画である。監督はピーター・シーガル、主演はアダム・サンドラードリュー・バリモア。ハワイを舞台に、前日の記憶を失ってしまう女性ルーシーと、彼女に毎日恋をする男ヘンリーの関係を描く。

一見すると軽快な恋愛コメディだが、「記憶が続かない恋愛」という設定によって、一般的なラブストーリーとは異なる構造を持つ作品である。関係がリセットされ続ける中で、それでも少しずつ積み上がっていく感情の変化が印象的。本記事では、『50回目のファーストキス』のあらすじや見どころを整理しながら、この特異な恋愛構造の魅力を掘り下げていく。

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日本版との違い|上映時間・テンポ・コメディ演出を比較

 

― 最初のキスって最高 ―

 

まずは日本リメイク版を先に視聴していた。

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その後、原作である洋画『50回目のファーストキス(50 First Dates)』も視聴。配信が見放題になったタイミングでようやく鑑賞できたが、日本版との違いが想像以上に分かりやすい作品であった。素朴な疑問なんだけど、原作映画に出演した俳優ってリメイク作品を見たりするのかな?

まず大きく違うのは上映時間とテンポである。洋画版は約94分とコンパクトにまとまっており、日本リメイク版(約113分)と比べると全体的に展開が速い。とはいえ展開が急すぎるわけではなく、無駄を削ぎ落とした構成でスムーズに物語が進んでいく印象だ。

一方で日本版が長めになっている理由も明確で、人物の心情や関係性をより丁寧に描こうとする、日本映画特有の演出が影響していると考えられる。叙情的に“間”を使うことで感情を伝える作りになっており、この点が両者の大きな違いである。

コメディ要素については基本的なネタ構造は共通しているが、演出の方向性に差がある。洋画版は自然な流れの中で笑いを差し込むのに対し、日本版はキャラクターの個性や配役の強さで笑いを押し出す傾向がある。まぁ要するに、起用された日本人俳優のキャラが濃いい。

また、本家が2004年公開ということもあってノスタルジックな空気感がある。わざとだろうか?さすがに2000年を過ぎていれば出力における映像の雰囲気はさほど変わらないはずだ。派手なVFXがあるわけでもないし。時代特有の雰囲気がそのまま残っている点も印象的である。

大筋はもちろんおんなじだが、お国柄だろうか、ロマンス表現はけっこうに情熱的に見えた。そうして印象的なセリフ。日本版でも言っていたのかもしれないが、レビューに書いていないので、もし言っていたとしても印象に残っていないのだろう。西洋人のせいだろうか、かなり煽情的に聞こえた。

 

― 最初のキスは最高 ―

 

恋愛構造の考察|記憶がリセットされても関係が進む理由

本作『50回目のファースト・キス』の恋愛は、一見するとかなり特殊である。ルーシーは毎日記憶を失うため、二人の関係は共有されない。

通常の恋愛であれば、時間とともに信頼や感情が積み上がっていく。しかしこの物語では、その前提が成立しない。

**「積み上がらない恋愛」**

構造としてはそう定義できる。

しかし実際に観ていると、奇妙な感覚が残る。関係は確かに前に進んでいるからだ。

同じやり取りを繰り返しているはずなのに、距離は少しずつ縮まっていく。この違和感の正体はシンプルである。

ヘンリーの側では、すべてが積み上がっている。

記憶も、感情も、関係の手応えも、彼の側には確実に蓄積されていく。

その一方でルーシー側はリセットされ続ける。

記憶も、感情も、関係の手応えも、彼の中には確実に蓄積されていく。一方でルーシー側は毎日リセットされる。

つまりこの恋愛は、

一方通行で積み上がっていく関係

という、歪でありながら成立してしまう構造になっているのだ。

そして重要なのは、この歪さにもかかわらず、関係が成立してしまっている点である。

リセットされるはずの恋が、それでも前に進んでいく。この点こそが本作の最大の特徴なのである。

もちろんルーシーも途中から日記をつけ始めるが、それは「記録」であって「記憶」ではない。毎朝ヘンリーとの関係を読み返すことはできても、実際に積み重ねた体験としては残らない。

いわば、“知っていること”と“経験したこと”のズレが常に存在している状態である。お酒を飲みすぎて記憶をなくした人は、想像に難くないだろう。

この構造を踏まえると、次に浮かぶ疑問は自然と一つに絞られる。

 

なぜヘンリーは、この関係をやめなかったのか

 

ヘンリーの心理変化|なぜ関係を続けたのか考察

物語の冒頭で描かれる通り、ヘンリーは典型的なプレイボーイである。旅行者を相手に一夜限りの関係を楽しみ、後腐れなく別れるスタイルを貫いてきた人物だ。恋愛において「積み上がり」を必要とせず、その場の楽しさだけで完結する関係を選び続けていた。ハワイという人気スポットという特性を活かしたナンパ師だ。

しかしルーシーと出会ったことで、その前提が崩れる。

ではなぜ、ヘンリーは彼女に固執したのか。

① 普通の恋愛が通用しない

ルーシーは毎日記憶を失うため、

関係が共有されない
積み上がりが成立しない

という前提がある。一見すると、続ける意味が見出しにくい関係である。

② それでもヘンリー側は積み上がる

本作の核心はここにある。

記憶はヘンリーの中に残る
会うたびに手応えが積み重なる

同じやり取りを繰り返しているはずなのに、関係は少しずつ前進していく。この構造によって、

一方通行でありながら、確実に積み上がっていく恋愛

が成立している。

③ 今までとの決定的な違い

これまでの恋愛は一度きりで終わり、何も残らなかった。

しかしルーシーとの関係は違う。

続けるほど、自分の中に関係が蓄積されていく

この実感を、ヘンリーは初めて得ることになる。

④ だからやめられない

本来なら、

手間がかかる
効率が悪い

と判断して切り捨てる関係である。それでも続けた理由は明確だ。

積み上がっていく実感の方が、価値として上回ったから

⑤ 結論

ヘンリーがルーシーに固執した理由は、

 

これまでの恋愛にはなかった、“積み上がっていく実感”を初めて得たから

 

である。

リセットされ続ける関係でありながら、自分の中では確実に前に進んでいる。この矛盾した手応えこそが、彼の価値観を変えたのである。

本作『50回目のファースト・キス』は、進まないはずの恋が進展してく物語であるとともに、記憶としては変わらないルーシーが、関係を積み重ねていく中でヘンリーを変えていく、人間として熟(こな)す物語でもあるのだ。

 

『50回目のファーストキス』はこんな人におすすめ|どんな映画か一言で言うと

『50回目のファーストキス』は、単なるラブコメとしてだけでなく、恋愛の「在り方」そのものを考えさせる作品である。設定のユニークさだけでなく、その中で描かれる感情の積み重なりに価値を感じられる人ほど、強く刺さるはずだ。

  • 王道ラブコメに少し違った視点を求めている人
  • 恋愛における「積み重ね」や「継続」に価値を感じる人
  • 切なさと優しさが同居した物語を楽しみたい人

軽やかに観られる一方で、観終わったあとにじわじわと余韻が残るタイプの作品である。

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まとめ|『50回目のファーストキス』が描く恋愛の本質

本作は、「記憶が続かない恋愛」という一見すると成立し得ない設定を軸にしながら、関係が少しずつ前に進んでいく過程を描いている。

ルーシーの記憶は毎日リセットされる。それでもヘンリーの中では、確実に関係が積み上がっていく。この非対称な構造こそが、本作の本質である。

そしてその積み重ねは、やがてヘンリー自身の価値観を変えていく。

一夜限りで完結していた恋愛から、時間をかけて築く関係へ。効率や手軽さではなく、「続けること」に意味を見出すようになる変化こそが、この物語の核なのだ。

『50回目のファーストキス』は、進まないはずの恋が進んでいく物語であると同時に、人が関係の中で変わっていく過程を描いた作品でもある。

観終わったあと、「恋愛とは何か」を少しだけ考えたくなる、そんな一本である。

 

映画『50回目のファースト・キス(2004年)』の作品情報まとめ(監督・キャスト・配信情報など)

  • 監督:ピーター・シーガル
  • 出演:ダン・エイクロイド, ドリュー・バリモア, アダム・サンドラー, ショーン・アスティン, ロブ・シュナイダー
  • 公開年:2004年
  • 上映時間:94分
  • ジャンル:恋愛, コメディ

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