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映画『侍タイムスリッパー』感想|妙ちきりんなタイトルに反して本気のサムライ映画だった。

『侍タイムスリッパー』ネタバレなしレビュー|タイムスリップ×侍ドラマの意外な名作

幕末の会津藩士が現代へ。侍としての誇りと剣だけを武器に、時代劇の世界で生きていく。

タイトルに反して、意外なほど真っ直ぐで重みのある人間ドラマだった。

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「スリッパー」と言っても、履きものではないので勘違いしないでいただきたい。

これは、タイムを“スリップ”した者に “-er” をつけた、「タイムスリッパー」である。

……勉強になりますね?

時は幕末、京の夜。会津藩士高坂新左衛門は暗闇に身を潜めていた。「長州藩士を討て」と家老じきじきの密命である。名乗り合い両者が刃を交えた刹那、落雷が轟いた。やがて眼を覚ますと、そこは現代の時代劇撮影所。新左衛門は行く先々で騒ぎを起こしながら、守ろうとした江戸幕府がとうの昔に滅んだと知り愕然となる。一度は死を覚悟したものの心優しい人々に助けられ、少しずつ元気を取り戻していく。やがて「我が身を立てられるのはこれのみ」と刀を握り締め、新左衛門は磨き上げた剣の腕だけを頼りに「斬られ役」として生きていくため撮影所の門を叩くのであった。

引用:Amazon.co.jp: 侍タイムスリッパー|Prime Video

『侍タイムスリッパー』あらすじと導入|武士が現代で時代劇俳優に⁉

序盤は視聴者を引き込むため、また作内キャラクターであるタイムスリップした侍・高坂新左衛門(山口馬木也)が自身の状況を理解するために、ゆっくりとストーリーが進行する。コメディ要素も盛り込まれており、思わずニヤリとさせられる場面もあって、自然と物語に没入していくだろう。

とはいえ、高坂新左衛門が時間の超越をややあっさり受け入れすぎている印象もある。だが、そこにこだわっていては物語が進まない。ここは目をつぶることにする。

物語が進むにつれ、「まぁあり得そうな展開」として、チョンマゲを結っていることから時代劇の代役を頼まれる……という筋へと展開していく。中盤以降は、ストーリーと登場キャラクターたちの関係が複雑に絡み合っていく。

人物の背景描写が非常に丁寧で、高坂新左衛門のみならず、主要メンバーそれぞれがそこに至るまでの過程が詳細に描かれている。

ひとりの“個人芸”を見ているだけでも楽しめるし、侍としてのリアルな面白さがある。山口馬木也の演じる役は、まさにハマり役と言っていい。

 

タイムスリップしても変わらぬ“侍魂”|山口馬木也の圧巻の演技力

タイムスリップという信じがたい状況のなかで、高坂新左衛門は強い精神で自身の境遇を受け入れていく。その姿はまさに、侍らしい潔さを感じさせる。

現代にいながら、侍を「演じている」ように見える。いや、もちろん裏では山口馬木也が侍を演じているのだが、ここで言いたいのはそういう話ではない。

彼は“侍であろうとしている”のではなく、現代においても“侍として在る”のだ。

……意味が伝わるだろうか。

つまり、彼は現代でも本質的に侍なのだ。

……伝わるかな?

 

侍の生き様に涙!斬られ役に宿るリアルな殺陣と魂

「一生懸命頑張っていれば、誰かがどこかで見ていてくれる」

作中で印象的だったセリフである。まさに侍・高坂新左衛門の、現代での生き様を端的に表していた。

迫真の演技はすごい。マジで、随所で演技がすごい。本当に凄い。ただ「美味いです」と言う芝居を見ただけでも、私は涙を促された。

涙とは、悲しいときや嬉しいときだけに流れるものではないらしい。感情が高ぶったとき、人は涙を流すのだ。

そして、本気の仕合(しあい)の中で、私はそれに飲み込まれ、涙していた。

本気の殺陣(たて)には、それが芝居だとわかっていても、観ているこちら側まで緊張を強いられた。

座して観る――ドラクエではぐれメタルとエンカウントした時のように。

映画『侍タイムスリッパー』の舞台はほとんどが現代である。だが、本編のすべてが時代劇だった。

これほど息を飲んだ映画は久しぶりである。

本物、モノホンの侍がいる。タイムスリップは、単なるオマケ要素に過ぎなかった――私はそう結論づけたのだ。

 

映画『侍タイムスリッパー』感想まとめ|こんな人にオススメ!

映画『侍タイムスリッパー』は、タイムスリップという非現実的な設定から始まりながらも、徐々に深みのある人間ドラマ・侍へと展開していく作品。

序盤のゆったりした進行とコミカルな要素に油断していると、中盤以降にキャラクターたちの背景や複雑な関係性の丁寧な描かれ方、その迫力に圧倒され尽すだろう。しっかり魅き込まれまれる作品だ。

主演の山口馬木也演じる高坂新左衛門の演技は迫真で、特に感情が高ぶる殺陣のシーンでは、観客であるこちらも緊張感を共有するほどリアリティあり。

現代を主な舞台にしながらも、彼が本質的に“モノホンの侍”であることを強く感じさせる作品であり、単なる時代劇やコメディ映画に留まらない深い魅力がある。

  • 時代劇が好きで、新しい切り口の作品を探している人
  • コメディ要素もありつつ、しっかりとしたドラマ性を楽しみたい
  • 役者の熱演や迫力ある殺陣シーンに興味がある人
  • 「武士」や「侍」の精神性に関心がある人
  • タイムスリップものやSF的設定をあまり重視せず、キャラクターの内面描写や人間ドラマを重視したい人

オチも秀逸である。

サムライよ、永遠なれ。

 

映画『侍タイムスリッパー』基本情報|キャスト・監督・配信情報

  • 監督:安川有果
  • 出演:山口馬木也、冨家ノリマサ、沙倉ゆうの、峰 蘭太郎、庄野﨑謙、紅 萬子
  • 公開年:2024年
  • ジャンル:コメディ、SF、ファンタジー、ドラマ
  • 配信Amazonで『侍タイムスリッパー』を見る

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