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映画『リバー、流れないでよ』正直レビュー|2分ループの設定を活かせなかった惜しすぎる一作

『リバー、流れないでよ』は、2023年公開の日本のコメディ・SF映画。監督・山口淳太、脚本・上田誠(ヨーロッパ企画)により制作された。
京都・貴船の老舗旅館を舞台に、2分間の“時間ループ”に閉じ込められた人々の混乱と奮闘を描いた作品である。
ある雪の日、貴船の旅館に集まっていた従業員や客たちは、気づくと同じ2分間を繰り返していることに気づく。原因も脱出方法も分からないまま、同じ会話・同じ出来事が無限に繰り返される中で、彼らは状況を受け入れつつも解決策を探していく。やがてループの中に隠された意外な真実が明らかになっていく。
藤谷理子、鳥越裕貴、本多力ほかが出演。

時間がわずかに巻き戻り、同じ場面がぐるぐると繰り返される。そんな「タイムループ映画」の中でも、2023年公開の『リバー、流れないでよ』は観る者の思考をじわじわと侵食してくる異色の一作だ。

舞台は京都・貴船の老舗旅館。そこに降り注ぐのは、わずか2分間というループの呪い。登場人物たちは状況を把握できないまま、ただ同じ時間を繰り返し続ける。設定自体はシンプルでありながら、その構造が生み出す異様な緊張感は他のタイムループ作品とは一線を画している。

メガホンを握るのは山口淳太監督、脚本は上田誠。出演には藤谷理子永野宗典土佐和成ら、京都発の劇団ヨーロッパ企画の実力派が集結。限られた空間と時間の中で、会話と行動だけを積み重ねながら日常が少しずつ崩壊していく様子は、舞台劇的な密度と映像表現ならではの反復演出が絶妙に融合した独特のテンポを生み出している。

単なるコメディ映画の枠に収まらない点も本作の魅力だ。「同じ2分を繰り返し生きるとはどういうことか」という問いそのものが、観客の認知を静かに揺さぶってくる。笑いと混乱が同時進行するという稀有な映画体験は、ループもの・SF映画好きはもちろん、日本のインディーズ映画や舞台出身の俳優陣に関心がある方にも強くおすすめしたい。

ここまでは、万人向けの導入としてさせてもらう。

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『リバー、流れないでよ』レビュー|2分ループの設定は面白いのに、緊張感ゼロで世界観が崩壊していた件

2分間のタイムループに翻弄される老舗旅館の人々を描いた映画『リバー、流れないでよ』。奇妙奇天烈、前代未聞——そんな惹き文句が並ぶ作品だ。

制限時間はたったの120秒。京都・貴船の老舗旅館を舞台に、女将・仲居・料理人・宿泊客、果ては裏山で狩る猟師まで、全員が同じ2分を繰り返し続けるタイムループコメディである。

狭く閉ざされた空間でくり返される混乱は、やがてドタバタ喜劇へと変わっていく。この展開に最後までついていけるかどうかは、正直なところ人を選ぶ。

先に言っておく。

本作が好きな方には申し訳ない、私はこの作品にはまったくノレなかった。
逆張りじゃないぞ。

 

『リバー、流れないでよ』の何が残念だったか|脚本・演出・演技、すべてが緩い

タイムループものへの期待は、視聴開始早々に裏切られた。舞台は京都・貴船の老舗料理旅館「ふじや」。ある2分間をループするという設定なのだが、その設定を活かすどころか、脚本も演出も演技も、すべてが緩んでいて緊張感のかけらもないのだった。

旅館の従業員たちは、異常な状況を前にしてあまりにもあっさり受け入れすぎる。「お客様が混乱されてるから安心させましょう」「時給とかどうなるんでしょうね」——事の重大さに対してリアクションが軽すぎだ。視聴者が置いてけぼりを食うどころか、作品の世界観そのものが崩壊していた。

宿泊客の反応も不可解極まりない。「なんでこんなこと起こってんの?」で済む話ではないし、「この雑炊食べても食べても減らないんだけど?」「大丈夫です、お腹も膨らみませんので」と言われても「ああ、そうなの?」という軽いノリ。もはや笑うしかない——苦笑のほうで。視聴者を笑わせるためのシーンだったのかもしれないが、まったく笑えなかった。本当に酷いである。

 

ご都合主義の極み|「川に祈ったからループが始まった」は脚本が雑すぎる

さらに問題なのが、何の根拠もなく「川に祈ったからループが始まった」と突然語り出すミコト(藤谷理子)、そして唐突に登場する未来人(久保史緒里)の存在だ。その異常さを誰一人として疑わない旅館のメンバーたち。現実離れしているというのではない。ただ単純に、脚本が雑すぎるだけだ。なにがなんだかわからない。まじめにやれとすら思う。

 

演技も台詞も崩壊気味|時間感覚を試される"悪夢ループ"体験【まとめ】

演技についても、正直なところ手放しで評価できる水準ではない。もっとも、台詞そのものがかなり特異で、俳優陣がどう演じても収まりが悪くなる構造だった可能性はある。ドラマとしての積み上げは弱く、ギャグとしても明確に振り切れているわけではない。その結果として、コメディなのかSFなのか、どのジャンルとして受け取るべきかが曖昧なまま進行していく印象だ。

コメディ映画として見た場合でも、笑いの着地点が定まりきらず、反応に困る場面が多い。いわゆる"コント的構造"を期待すると、テンポもオチの設計も噛み合っていないため、肩透かしを食らう場面が少なくない。失笑というよりは、どこか反応の置き場に困るタイプの笑いである。

途中からは集中力が持たず、飛ばしながらの視聴になってしまった。結果として残った感想は極めて単純で、「時間の使い方としてはかなり厳しかった」という一点に尽きる。

ループしているのは劇中の2分間だけではなく、こちら側の理解と忍耐も同じ場面を反復させられている感覚があった。気付けば、消費した時間のほうが作品内のループ設定よりも長く感じられるという、奇妙な逆転現象すら起きている。

全体として厳しい評価にならざるを得ない作品だ。短尺であることだけが救いではあるが、それも内容の密度を考えると相殺されている印象は否めない。あくまで個人的には、『リバー、流れないでよ』は最後まで通して受け止めるには相性の悪い一本であった。

 

それでも『リバー、流れないでよ』をおすすめするとしたら?|こんな人には合うかもしれない

さんざん酷評したが、それでもおすすめできる人を挙げるとするなら、以下に当てはまる方には合うかもしれない。

  • ゆるいSF風味のコメディ映画を、深く考えずに眺めたい方
  • 緊張感やリアリティよりも"ノリ"や"軽さ"を楽しむタイプの人
  • 低予算映画ならではの"ゆるさ"や"シュールさ"を愛せる方
  • B級映画・珍作・迷作を掘り起こすのが好きな映画マニア

ファンの方にはさんざんこき下ろして申し訳ないが、これが私の本心からの感想である。とは言え、一定数——いや、相当数の高評価の声があるのも事実だ。レビューサイトでの評価もなかなか高い。つまり、合わなかったのは私だけなのだ。

だからまぁほぼほぼ、ほとんどの人は楽しめるハズである。たぶん。

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映画『リバー、流れないでよ(2023年)』の作品情報まとめ(監督・キャスト・配信情報など)

  • 監督:⼭⼝淳太
  • 出演:藤谷理子、鳥越裕貴、角田貴志、久保史緒里(乃木坂46)、本上まなみ、近藤芳正
  • 公開年:2023年
  • 上映時間:86分
  • ジャンル:コメディ、SF

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