のんびり映画帳

映画レビューブログ「のんびり映画帳」。B級映画、配信作品、名作から地雷まで本音レビュー。感想だけでなく、独自の意見や考察を交えます。できるだけネタバレは控えています。

ホーム feedly お問い合せ PrivacyPolicy

韓国映画『さようなら、夏』感想レビュー|余命を抱えた少年の青春とノスタルジー

余命を知った少年が初恋と友情に向き合う、儚い夏の青春ストーリー。

韓国映画『さようなら、夏』レビュー評価

余命を知らされた少年のひと夏を描く韓国映画『さようなら、夏』(原題:굿바이 썸머 / 英題:Goodbye Summer)。

余命わずかな高校生の恋と友情を描いた、儚くも美しい青春ドラマ。2019年公開、監督はパク・ジュヨン、主演はONE(チョン・ジェウォン)キム・ボラ

限られた時間の中で、大切な人とどう向き合うのかを、優しい映像美と共に描き出す Short MOVIE。

71分という短い尺ながら、物語は山場を作ることよりも”雰囲気”に重心を置いている。派手な展開や盛り上がるところはほとんどなく、淡い映像と間(ま)に宿る温度を大切にしているようだ。

視聴していると、自分が学生だったあの頃の何でもない放課後や、まだ大人とは呼べない時分の、夏の空気の手触りを思い出す。

”今”とは違う夏。思い返しても大きな事件はなかったと思うが、あの季節は「青春」だった。

『さようなら、夏』は、その思い出をほんのりと呼び起こさせる映画である。

▶ 読みたいところだけチェック

 

『さようなら、夏』あらすじとストーリーの特徴

好きな人は好きだと思う。雰囲気は良いが、刺さらなかったら刺さらない。 空気――を、味わう映画なのかな。面白くなくはなかったんだけど、私は刺さる側の人間ではなかった。淡~い映像美と静かな時間の流れを楽しむ「雰囲気映画」として私は見積もるが、ストーリー性を求める人には物足りないかもしれない。

映画レビューサイト・Filmarksの平均評価は3.3。高でも低でも、突出した評価を付けている人は少なくて、大体がみんな3~3.5を付けていた。

あらすじ

高校生のヒョンジェは、不治の病を抱えながら日常を過ごしている。だが本作は「余命」を前面に押し出したメロドラマではなく、彼と友人たちが過ごす何気ない夏の日々を淡々と映し出していく。
幼なじみのスミンとの微妙な距離感、転校生ビョンジェの明るさ、塾で出会う少女の好意――小さな人間関係の揺らぎが、彼の短い時間を穏やかに彩っていく。大きな事件や劇的な展開は訪れない。ただ、友人たちと過ごす放課後や会話のひとつひとつが、かけがえのない瞬間として積み重なっていく。
やがて夏の終わりが近づくころ、観客はヒョンジェの病よりも、その時間が確かに「青春」だったことを実感させられる。

ストーリーの特徴

大きな山場や劇的なオチも、まぁないのかな。

男子高校生・ヒョンジェ(チョン・ジェウォン)は序盤から Aleady 不治の病である。韓国作品と言えばドラマとかでは不治の病か突然の事故か、はたまた複雑な血縁関係の3大要素から成ってるんだけど。

しかしながら、本作は病を理由に視聴者の感情を大きく揺さぶるようなタイプのドラマではない。極端に悲しんだり泣き叫んだりするシーンはなく、むしろ病気なんてないかのように日々を描いている。演出で感情や状況を説明するような作品ではなく、ただ淡々とその夏のカットを映している、等身大の青春ドラマに近い。まぁところどころでは、オマケっぽくヒョンジェが病気であるということを表現してるシーンはあるんだけれど。

儚さはあるが、しかし少なくとも、悲しみを誘うような映画ではなかった。

不治の病であることを除けば、もう本当に、とあるソウルの青春群像劇(アンサンブル) 。多分ソウル。都会だったから。

ヒョンジェは幼なじみのスミン(キム・ボラ)のことが好きで、スミンもまんざらではない。2人の共通の友人ジフンは別の女の子から好かれていたり、ヒョンジェも学校は違うけれど同じ塾の女の子に興味を持たれたりしている。転校生のビョンジェはスミンをちょっといいなと思っている。

ビョンジェの元気さが売りの、そんな感じのキャラが目立っていて良かった。たぶん、不治の病であるヒョンジェの対角としての役なんだろうけど。

映画の尺は71分という短いものだけど、キャラクターは何人も登場し、それぞれに背景がある。何度も似たようなことを述べるが、ストーリーは派手な展開というより、キャラクター同士の会話や何気ないやりとりを通して青春の一瞬一瞬を切り取るスタイルとなっていた。

 

高校生だったあの頃。ノスタルジーと雰囲気

夏は温暖化だなんだで暑い。暑いというより、もはや”熱い”。それなら冬はさぞかし暖かいのだろうと思って油断していれば、冬は冬でしっかりと寒いので納得がいかない。

じめじめの湿った日本の夏の暑さは嫌いだけど、ほっこりした暖かいノリは好きだ。『さようなら、夏』は、そんな作品である。

明確なストーリーというか、高校生の夏という”時”を切り取った映像と空気感。かつての自分にはもう戻ってこない青春の季節をふと思い出させるような、ノスタルジックな余韻を残す。

自分の高校生時代はどうだったろうか。勉強はしなかった。部活に明け暮れていたように思う。一応、進学校だったんだけど。

本作は、しっかりとしたテーマは感じられなかった。製作者は埋め込んでいたのかもしれない。けれど、少なくとも私は感じ取れなかった。でもなんか懐かしい。寝る前に流しておくと、よく眠れるかもしれない。

私は高校生の時は恋愛どころか恋もしなかったから、それがあれば本作はまた違った印象を感じさせたのかもしれない。高校生の恋というものは、大学生になってからはそりゃできないものだから、その点に関しては少々惜しい気がする。高校生の恋愛と大学生以降の恋愛とはまた違うものがあるのだろう。そもそも、高校を卒業してしまえばいわゆる「制服デート」ができない。まぁ、大人になってからコスプレとして「制服デート」を堪能する恋人たちもいるらしいのだが。

若さはあるが経済力がない。ただ二人でいるだけで幸せ。そんな純粋な恋愛なんだろう。しらんけど。

それこそ、放課後、ただ二人で階段に座って語りこんでいる男女を見かけたことを思い出した。「なんか、いいなぁ」。羨ましいというような下心ではなく、見守っていたいような。そんな雰囲気を、『さようなら、夏』は纏っていた。

 

『さようなら、夏』は雰囲気で味わう韓国映画

ここまで読んでくれた読者は、「これは映画レビューなのだろうか?」と感じる人がいるかもしれない。しかし本作は、まさに説明しにくい“雰囲気”を味わうタイプの韓国映画であるのだ。空気感や映像の余白で、何かを感じさせる作品だ。そうそう、余白はしっかりあるの。心地よい余白はある。

強烈な印象や後からジワジワ感動が効いてくるようなこともない。まぁ、不思議と懐かしさはあるのだけれど。田舎の風景の~っていう感じではなくて、精神世界の根底にあるような。

前項で書いたような、まさに自分の青春時代と重ねて視聴するような映画だと思う。主人公のヒンジェは余命が幾ばくかなんだけれど、余命がいくらあったって、高校生の夏というものは一度きりだ。そういう意味で、本作は全員に平等な「青春の夏」を描いている。

勉強に励んでいたも良し、部活動に勤しむのも良し、アルバイトで小銭を稼ぐのも良し、そして恋愛も、また良し。

上で「明確なテーマは感じられない」とか私は書いたけれども、映画にテーマを見出すのではなくて、本作をきっかけに自身の中で自身の夏を感じてみてほしい、そんな作品である。ように私は思う。

.雰囲気映画のオススメはコチラ.

www.ikakimchi.biz

 

まとめ|「考えるな感じろ」系の極み。こんな人にオススメ!

本作は、ストーリーを最期まで描き切らない。ヒョンジェは生きたままで映画は終えられる。

「えっこれで終わり?」と感じる人もいれば、「ふぅ…良かった…」と静かに余韻を味わう人もいるだろう。まぁあれだよあれ。いつも私がよく言ってる、「考えるな、感じろ」系の作品。それの極み。

  • わかりやすい派手な展開よりも映像や空気感を楽しみたい人
  • 青春映画やノスタルジー系作品が好きな人
  • 感情の起伏よりも静かな余韻を味わいたい人

🎬 『さようなら、夏』はAmazonプライムで配信中

 


『さようなら、夏』は、ストーリーよりも“雰囲気”と“余白”を楽しむ作品だと思う。というか、ストーリーは、もはや無し。キャラクターや背景を自分なりに解釈することが大切。

好きな人には刺さるだろう。たぶん。

映画を観て、いつぞやの高校生の自分を思い出してみてはいかがだろうか。

本作とは対照的な青春コメディを描いた作品はコチラ

www.kfilm.biz

 

映画『さようなら、夏(2018年)』の作品情報まとめ(監督・キャスト・配信情報など)

  • 監督:パク・ジュヨン
  • 出演:チョン・ジェウォン/、キム・ボラ、イ・コヌ
  • 公開年:2019年
  • 上映時間:71分
  • ジャンル:青春、恋愛、ドラマ

当サイトはアマゾンアソシエイト・プログラムの参加者です。
適格販売により収入を得ています。

© 2023– のんびり映画帳