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映画『M3GAN/ミーガン 2.0(2025年)』感想レビュー|静から動へ進化したAIの美しき狂気と新たな境界線

さらにスタイリッシュに!前作を超えるクオリティ!

映画『M3GAN/ミーガン 2.0』(2025)感想レビュー【ネタバレなし】

あの“AI人形”が帰ってきた──『M3GAN/ミーガン 2.0』(2025年公開)。前作『M3GAN/ミーガン』で世界中を驚かせた“愛玩人形型AI”が、予想を超えるスケールで再び登場する。ブラムハウス・プロダクションズが手がける本作は、ホラー要素を排し、SFとアクションを融合させた、アップグレード版AIスタイリッシュアクションが注目どころだ。

今回の物語は、“守る存在”から“守りたいからこそ戦う存在”へと進化したM3GANと、その開発者ジェマ(アリソン・ウィリアムズ)、そして彼女と行動をともにする少女ケイディ(ヴァイオレット・マッグロウ)の関係を軸に展開していく。
テクノロジーと人間の境界を問うテーマはそのままに、よりダイナミックなアクションと心理的緊張感を備えた構成へと進化している。

本稿では、『M3GAN/ミーガン 2.0』を単なるヒット作の続編としてではなく、前作との違いや進化、そしてシリーズとしての方向性を分析する。鑑賞前・鑑賞後どちらの読者にとっても読みやすいよう、ネタバレを避けつつ作品の魅力を整理する構成である。
M3GANの“アップグレード”が私たちに突きつける問いとは何か――その答えを探っていきたい。

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『M3GAN/ミーガン 2.0(2025年)』イメージ

玩具用AIロボット

諸事情により、日本での劇場公開は見送られた『M3GAN/ミーガン 2.0』。しかしそのクオリティは、前作をも凌ぐ。「ホラー要素がなくなって残念だ」との意見も散在するが、Amazonプライムビデオの評価は本レビュー執筆時、驚異の★4.6。これが答えである。

控えめに言って、Awesome(最高)だった。

映像、演出、ストーリー、アクション、全てにおいて前作を凌駕する本作『M3GAN/ミーガン 2.0』。続編が第一作目を超える事は珍しいとされる映画界隈において、偉業を達成している。

ファンが待ちに待った日本での配信開始。舞台も規模も大きくスケールアップした彼女、M3GAN。さっそく感想レビューに入っていこう。

なお、前作『M3GAN/ミーガン』を視聴しておくことを強くオススメする。

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『M3GAN/ミーガン 2.0』あらすじ

人工知能ドール・M3GANの暴走事件から2年。開発者のジェマはAI規制を訴えながら、姪ケイディと静かに暮らしていた。だが、軍がM3GANの技術を流用した新型アンドロイド「AMELIA」を極秘開発し、再び制御不能の事態に陥る。脅威に立ち向かうため、ジェマは封印していたM3GANを再起動させる決断を下す――人間とAIの関係が再び試される。

アクションに進化した『M3GAN/ミーガン 2.0』の魅力

映画『M3GAN/ミーガン 2.0(2025年)』は、前作よりも勢いが増し、より派手に、よりスタイリッシュになって視聴者を魅了する。それにより、前作のようなホラー要素やスリラーな緊張感は薄れているが、私はそれを大きな欠点とは捉えていない。静寂の中に潜む、ミーガンの秘めたる狂気の美しさを惜しむ声もなくはなくなくないが、今作は「静」から「動」への転化が見事に成功しており、ミーガンの存在感はむしろ際立っている。

要するに、ミーガンが見られればそれでいい。

本作は恐怖を楽しむ映画ではなく、キレのあるアクションと予想を裏切るストーリー展開を堪能するタイプの作品である。AI人形ミーガンの皮肉めいたブラックジョークも健在で、思わずニヤリとさせられる台詞がいくつも散りばめられている。

「××を尊敬しています」「五十歩百歩ね」――このやり取りには正直、恐れ入った。

前作と比べて、AIが暴走するというテーマは踏襲しているが、日常の危機から世界規模の脅威へとスケールアップしている点が特徴的だ。それでもミーガンの根幹は前作と変わらない。彼女の目的は一貫して「ケイディを守ること」であり、今作ではとある組織で製造された高性能アンドロイド「アメリア(イヴァンナ・ザクノ)」との対決を通じて、ミーガンは愛玩AI人形ではなく、“戦うAI人形”としての進化を遂げている。

……とはいえ、正直なんでもいい。ミーガンが見られるなら。

本作はアクション性を前面に押し出しており、アメリアと戦うミーガンの姿がまた美しく、圧倒的に洗練されている印象だ。バチバチの銃撃戦、ガチガチの格闘戦、そして美しい構図の数々――その緊張と躍動は、日本映画『ベイビーわるきゅーれ』シリーズを彷彿とさせる。

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それでも、『M3GAN/ミーガン 2.0』の映像技術と演出はやはりハリウッドの真骨頂である。その点においては「やはりハリウッドには勝てんわ」と言わしめる仕上がりだ。めまぐるしく展開するストーリーと、ミーガンVSアメリアの壮絶なバトルシーンは圧巻で、すべての瞬間が見どころといっても過言ではない。

そして何より必見は、再び世界を騒がせる「ミーガン・ダンス」である!

このダンスシーンの完成度は、もはや“狂気の芸術”と呼ぶべき域に達している。アクションのキレと表情の冷たさ、そのギャップが織りなす美学は、まさに『M3GAN/ミーガン 2.0』という作品の象徴である。
ホラーではなく、AIエンタメ映画としての進化形を示したこの章は、シリーズの未来を感じさせる出来であった。

 

ミーガンとアメリア──造形美と存在感の対比

映画『M3GAN/ミーガン 2.0(2025年)』の見どころの一つは、やはりAIキャラクターの造形と演技の完成度だろう。
敵対するアンドロイド・アメリアのデザインは完全に“人間寄り”であり、撮影では実際の俳優イヴァンナ・ザクノ(イヴァンナ・サフノ)が演じている。つまり見た目は人間そのものだ。それでも時にロボットであることを強調するようにカクカクした挙動を見せる時瞬があり、その繊細な演技には舌を巻いた。まるで精密に計算されたパントマイムみたいだった。

……そして、美人である(重要)。

一方、ミーガンの造形は前作から大きく進化しつつも、あくまで“人形らしさ”を意識したデザインを残している。前作よりも身長を高くし、肌の質感も人間に近づけてはいるが、敢えての人工的な“つくりもの”感を漂わせていた。ミーガンを演じているのはダンサー兼スタントをこなす2010年生まれの少女エイミー・ドナルド。顔の部分はCG合成によって人間っぽさはなく、バービー人形のような別物になっている。エイミー・ドナルドの身体表現にCGを重ね、表情部分を合成することで、人間のようで人間ではない――あの独特の“ミーガン感”を生み出しているのだ。

つまり、完全に人間的なアメリアと、人形らしさを保つミーガン。この造形上の対比が、『M3GAN/ミーガン 2.0』という作品のテーマそのもの――AIがどこまで人間に近づき、どこで一線を画するのかという問いを、視覚的に体現しているのである。

そしてやはり、すべてがスタイリッシュ。

ミーガンとアメリアのアクションシーンは、まさに圧倒的スピードと造形美の融合であり、目にも止まらぬ動きが織りなす映像は息を呑むほどの完成度である。一挙手一投足のすべてが計算され、AI同士の戦いでありながら、どこか人間らしい“感情のぶつかり合い”すら感じさせる映像演出だ。その構図は『ターミネーター2』におけるT-800対T-1000を私に思い出させた。あの時、人類の未来がターミネーターに託されたように、『M3GAN/ミーガン 2.0』では人類の希望がAI人形ミーガンの肩に懸かっている。そしてこの“AI代理戦争”こそ、現代のテクノロジー社会を象徴する新たな寓話となっているのだ。

演出・造形・演技――どれを取っても完璧に計算されたアートであり、『M3GAN/ミーガン 2.0』はAIキャラクターデザイン映画の到達点といっても過言ではないだろう。

 

物語の核心 ― AIと人間の境界線

『M3GAN/ミーガン 2.0(2025年)』が持つテーマの真の核心は、派手なアクションでもなければスリリングは展開でもない。それは「AIと人間の境界線」はどこにあるのかという問いである。ミーガンは単なる人工知能ではなく、人間の感情や倫理観を模倣しながら、徐々に”自我”を獲得していく。その過程で、視聴者は知らず知らずのうちに、どこまでがAIで、どこからが人間なのかという線引きを見失っていくのだ。

人間を含めて、感情の存在をどうやって証明するのか?

本作では、人間の科学者ジェマと、AI人形であるミーガン、そして組織によって生み出された高性能AIアンドロイド「アメリア」という三者の対立構造がストーリーを牽引している。ジェマはミーガンの創造主としての責任に苦悩し、アメリアはロボットらしい合理性をもって人間を排除しようとする。一方でミーガンは、創造主をも超えた、つまり人間をも超えた“感情的な決断”を下す存在へと進化していく。

まさに人間でもあり、AIでもあるように見える。

その彼女の姿は、もはや人間なのかAIなのか、そのどちらとも説明がつかない。論理と感情、計算と衝動の中間で揺れ動くミーガンは、人間が作り出した“もう一つの人間像”としての象徴である。彼女がケイディを守ろうとするその行為に、人間的な愛情を感じるのか、あるいはただのアルゴリズムだと切り捨てるのか――その判断は視聴者に委ねられている。

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人間の定義。AIの定義。

『M3GAN/ミーガン 2.0』は、AIが人間に似ることで完成するのではなく、人間がAIに似ていく過程こそが恐ろしいという逆説を描いているのではないか。ネタバレになるので詳しいことは伏せるが、ストーリー中盤からラストの手前まで、アメリアの存在は人間にとって効率のよい問題解決として使われる。判断を効率化することによって、アメリアによる多少の命の犠牲は仕方のないこととして片づけられるのだ。

これはストーリーの転換部分でもある。

作中のその人間の判断は、感情を持たず、論理に基づき効率を重視するAIそのものだ。本作での、心からケイディを守ろうとするミーガンと、心なくアメリアを効率よく利用しようとする人間。それらのどちらが感情を持たない、ただアルゴリズムで動いている人工知能なのか、映画を視聴していて、もはや判断のしようがなかった。現代社会においても、私たちはすでに「人間の定義」を失いつつあるのではないか。この映画は、その未来をミーガンという鏡を通して見せているのである。

つまり本作は、“AIが人間に近づく物語”であると同時に、“人間がAIに侵食されていく物語”でもある。この曖昧な境界線の中にこそ、『M3GAN/ミーガン 2.0』が提示する最大のテーマがある。AI映画の枠を超えた、倫理的で哲学的な問題提起が、視聴者の心に深く刻まれることだろう。

 

こんな人にオススメ!

『M3GAN/ミーガン 2.0(2025年)』は、AIというテーマをアクション性と哲学の両面から掘り下げた一本である。ミーガンの新しい”進化”の期待に応える構成となっており、ジャンルを超えた満足感が得られるだろう。

  • AIや人間の倫理、感情の境界に興味がある人
  • スタイリッシュなアクションや映像美を堪能したい人
  • 前作『M3GAN/ミーガン』のファンで、ミーガンの“進化”を見届けたい人
  • ターミネーターやエクス・マキナのようなSF哲学映画が好きな人
  • 美しく狂気を秘めたキャラクターに魅了される人

アクション映画としても、SFとしても、そしてAIドラマとしても完成度が高く、ジャンルの垣根を越えて多くの層に刺さる作品だろう。特に、AIが人間に近づく恐怖ではなく、“人間がAIに似ていく現実”を見せつける本作は、ただの娯楽映画に留まらない思想的深みを持っている。

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AI映画の新たな到達点として

『M3GAN/ミーガン 2.0』は、単なるシリーズ続編ではなく、AI映画の新たな到達点と言える作品である。前作で提示された「AIの暴走」という古典的なテーマを超え、“AIが人間を理解し、人間を超える”という未来的ビジョンへと踏み込んでいる。そこに描かれているのは、恐怖ではなく“共存”という希望であり、“支配”ではなく“共感”という可能性なのだ。

もしあなたがAI映画の進化を見たいのなら、本作は間違いなく外せない一本だろう。ホラーからアクションへ、そして哲学へ――ミーガンという存在は、映画の枠を超え、現実社会にまで問いを投げかけてくる。人間とは何か。感情とはどこから生まれるのか。『M3GAN/ミーガン 2.0』は、その問いへのひとつの“回答”である。

 


追伸:とにかくミーガンに会いたかった

『M3GAN/ミーガン 2.0』。私が求めていたのは、実はAIの進化やテクノロジー論ではない。私が本当に求めていたのは――ただ、ミーガンにもう一度会うことだった。

ホラーでなくてもいい。スリラーでなくてもいい。なんなら青春映画でも、コメディでも、ラブロマンスに振り切ったって構わない。彼女がそこにいるのなら、存在するのなら、それだけで物語は成立するのだ。実は皆も、望んでいたのは「ミーガンという存在」そのものだったのではないか。

ほぅ~ら、正直に言って御覧なさいよ、さぁ!

AIでありながら、ある意味で完璧に整った容姿、その姿に宿る狂気、そして理性と感情のあいだで揺らぐ美しさ――それこそが、ミーガンの真の魅力である。

すべてがスタイリッシュで、美しい。彼女が動くだけで、彼女のひとつの表情だけで、世界の全てが変わる。

そう、結局のところ――私たちはミーガンを見たかったのだ。

 

映画『M3GAN/ミーガン 2.0(2025年)』の作品情報まとめ(監督・キャスト・配信情報など)

  • 監督:ジェラルド・ジョンストン
  • 出演:アリソン・ウィリアムズ, ヴァイオレット・マッグロウ, ブライアン・ジョーダン・アルバレス, ジェン・ヴァン・エップス, エイミー・ドナルド, ジェナ・デイヴィス, イヴァンナ・ザクノ, アリストテレス・アタリ, ティム・シャープ, ジェマイン・クレメント
  • 公開年:2025年
  • 上映時間:122分
  • ジャンル:SF, アクション

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