のんびり映画帳

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『ジョン・ウィック:チャプター2』感想|影の演出とアクションが進化したシリーズ転換点

映画『ジョン・ウィック:チャプター2』は2017年公開のアメリカ製アクション映画である。
前作『ジョン・ウィック』の続編で、主演はキアヌ・リーヴス。
国際的な殺し屋社会を舞台に、復讐と掟に翻弄される姿を描いている。

🎥さらにダイナミックに。さらにアドバンスに。キアヌ・リーヴスが魅せる極上アクション。

映画『ジョン・ウィック:チャプター2』感想レビュー

かつて裏社会で“伝説”と称されてきたジョン・ウィック(キアヌ・リーブス)は、前作での激闘を経て、ようやく平穏な生活を取り戻しつつあった。しかし、完全に過去を断ち切るために動き始めた矢先、失われた愛車を回収しようと踏み出したジョンは、ロシアン・ファミリーを率いるアブラム(ピーター・ストーメア)と再び相まみえることになる。

この一連の騒動を片付け、ようやく一息つくかと思われた瞬間、ジョンの前に現れるのがサンティーノ・ダントニオ(リッカルド・スカマルチョ)である。彼はジョンが“表の世界”から身を引く前に交わした誓約を持ち出し、再度危険な任務へと彼を引き戻す。ここから『ジョン・ウィック:チャプター2』の物語は加速度的に動き始めるのである。

.前作『ジョン・ウィック(2014年)』レビューはコチラ.

www.ikakimchi.biz

本作『ジョン・ウィック:チャプター2』はシリーズ第2作目であり、アクションの密度も世界観の深まりも一段階上に引き上げられている。

全4作構成というボリュームに最初は尻込みしたが、いざ観始めると止められない止まらない!むしろ、こんな傑作がスピンオフ作品『バレリーナ:The World of John Wick』と合わせて、あと4回も味わえるのかと思うと、私は嬉々としてしまった。

なんでもっと早くに観なかったのだろう。

一作目の興奮冷めやらぬまま、私は『ジョン・ウィック:チャプター2』へ突入。ストーリーは前作終了直後から続く“完全な連続もの”であるため、一作目の視聴はほぼ必須である。というより、一作目を観ずに本作へ進むのはあまりにも勿体ない。

未見の人は早く見て!

キアヌ・リーブスの研ぎ澄まされたアクションが再び画面に躍るというだけで胸が高鳴り、私は画面の前に正座する勢いで備えた。本作はまさに、アクション映画としての“さらなる進化”を体感できる作品である。

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『ジョン・ウィック:チャプター2』あらすじ

引退を望む元“裏社会の実力者”ジョン・ウィックは、静かな暮らしを取り戻そうとしていたが、かつての誓約を理由にサンティーノという男から再び表に引き戻される。拒めば自分に危険が及ぶ状況の中、ジョンは渋々ながら任務を受け、ローマに潜む巨大組織へと向かうことになる。
ところが仕事を果たした直後、今度はサンティーノ自身が彼を排除しようと動き出し、世界中の“腕利きの追跡者”たちがジョンを狙う事態に発展する。追われる側から反撃を誓う側へと立場を変えながら、ジョンは混乱の渦の中で自分の道を切り開いていく――。

序盤から全開で魅せるアクションの応酬

『 ジョン・ウィック:チャプター2』は冒頭から強烈なカー?バイク?チェイスで幕を開ける。いきなりのアクションで視聴者を作品世界へと引きずり込んでいく構成だ。

なんかワイルドスピードに影響受けてそう(個人的な感想)。

かと思えば、やはり本作の核である迫真のガンフー(ガン×カンフー)も序盤から全力で炸裂する。銃撃と近接アクションを絶妙に組み合わせたジョン・ウィックならではの戦闘スタイルに、カースタントがさらに加わり、前作よりもアグレッシブでダイナミックな仕上がりな印象。

そして、ようやくひと仕事を終えて帰宅したジョンを待っていたのは、まさかの“自宅へのロケットランチャー攻撃”という超展開である。これらすべてが序盤わずか15分に詰め込まれており、作品としてのスピード感と密度は圧倒的だ。

ストーリーラインは今回も非常に明快で、今回も復讐がテーマとなる。

そりゃまぁ、自宅を吹き飛ばされりゃキアヌ・リーヴス演じるジョンも怒り沸くというのは当然の流れだろう。

本作でもキアヌ・リーヴスは圧巻のアクションを披露し、画面は終始エネルギーに満ちている。血湧き肉躍るアクションと容赦のない展開により、観客のアドレナリンが否応なしに高まること請け合いだ。

 

圧巻のアクションと“人間ジョン・ウィック”の深まり

『ジョン・ウィック:チャプター2』の最大の見どころは、やはりシリーズの代名詞とも言えるアクションである。そもそも本作の強みはそこにあり、作品の中心を成す要素だ。

開幕から始まる激しいバトルは、エンディング直前まで息つく暇がない。とにかく“カッチョいいキアヌ・リーヴス“を堪能するための映画であると言ってよい。キアヌの立ち姿や動きそのものが画面を支配している。

私くらいにキアヌはカッチョいいのだ。

格闘シーンは前作より、ややもっさりに見えるが、しかしよりリアルに思える。実際の近接戦闘はこんなもんだろう。スピード感という見栄えよりも現実味を重視した振り付けだろうか。

それでもガラスを突き破り、階段を転げ落ち、車に跳ね飛ばされるといった体当たりのスタントは圧巻である。派手さと生々しさが一体となり、シリーズ独自のアクションの魅力をさらに強固なものにしていた。

ジョン・ウィックの代名詞である“一撃必殺”も健在で変わらない。確実に1発1発で仕留めていくスタイルは見応え十分で気持ちいい。

ヘッドショットを華麗に決めるのは、美しくすらある。

さらに、ストーリー面も見逃せない。何しろ、本作では敵が単一ではなく、ジョンは複数のそれぞれ違った組織から狙われる。果てはニューヨーク中の“腕利きの追っ手”を相手取り、前作を遥かに上回るスケールが生まれている。

いや、殺し屋っそんじょそこらにいるの?笑という展開。これはもう、明らかに2作目制作時点から続編を視野に入れていたに違いない。そんな広がり方を感じる。

そしてやっぱり、生々しさである。本作では一層際立っていた。主人公なのにジョンはしっかりと傷つき、痛みを負い、とある誓約によって行動が縛られ、抜け出したくても抜け出せない葛藤を背負う。そしてそれに抗っていくストーリーだ。そのうえで、自らの感情によって掟を破る瞬間もあり、圧倒的な強さの裏に人間らしい弱さが垣間見える。

ただ圧倒的な強者を描くのではなく、冷徹でありながらも迷い、苦しむ“人間ジョン・ウィック”が描かれている点が、本作の魅力をより深くしている。

前作以上にキャラクターの内面へ踏み込み、アクション映画でありながらドラマ性を併せ持った作品へと進化した『ジョン・ウィック:チャプター2』は、シリーズの方向性を決定づける重要な1作であると言えるだろう。

 

『ジョン・ウィック:チャプター2』が示す陰影表現の美学と、日本映画との決定的な違い

『ジョン・ウィック:チャプター2』を視聴していて私が強く感じたのは、光と影の扱いの巧みさであった。日本映画ではあまり見られないような、明暗をハッキリ分けた陰影が画面全体を支配しており、そのコントラストが作品の緊張感とリズムを生み出していたのだ。光と影の配置そのものが演出として機能しており、アクション映画としての強度に直結している点が特徴的だ。

本シリーズの監督であるチャド・スタエルスキは、元スタントマンという経歴を持つらしい。彼はアクションの「見え方」を徹底的に意識しているようで、動きが最も読みやすく、最も美しく、最も迫力を持つように画面を設計しているのだ。強い明暗差をつけた照明も、キャラクターの輪郭や動きを際立たせるための演出意図が明確で、影の存在そのものがアクションの一部となっていた。

そのため、キアヌ・リーヴスの顔が影で暗くてほとんど見えないシーンすらある。しかしそれは“顔が暗い”のではなく、“画が強い”のである。作品として優先すべきものが、ハリウッドの大スターの顔よりも映像全体の強度の方にあるのだという、はっきりとした美学の表れなのだ。

ネオ・ノワールここに極めり。

一方で日本映画を思い返すと、『ジョン・ウィック』のような大胆な光と影の設計は多くない。日本映画には「俳優を見せる」という文化が強く、照明をフラットにして顔をしっかり映すことが優先されるきらいがある。暗部に沈む構図や、顔の半分が影に隠れる照明は避けられやすい傾向にある。これは映画とテレビドラマの制作環境が違く、照明の考え方が「自然で均一」になりやすい制作文化と結びついているようだ。

視聴者側の慣れも大きい。日本の観客は“柔らかく自然な画”を邦画らしさとして受け取っているため、『ジョン・ウィック:チャプター2』のような強い陰影表現は「洋画的」であり、それが邦画の文脈とは馴染みにくい。

さらに、日本では「キャストありき」で作品が企画されることが多い。いわゆる“俳優システム”が強く、

  • どの俳優を主役にするか
  • 誰をキャスティングするか

が企画段階から中心となる。この構造は結果として、

  • 俳優の顔が明るく見える照明
  • セリフ主体の構成
  • 演技を撮るためのフラットな画作り

を優先させる。日本では俳優の“商品価値”が基盤となるため、映像表現は保守的になりやすいのだ。

対してアメリカの映画制作は、「作品(企画・世界観・ジャンル)が主役であり、俳優はそこに配置される」という構造が基本である。そのため、

  • 映像表現の大胆さ
  • 光と影の使い方の徹底
  • カラースクリプトによる色設計
  • 画づくりの統一感

が作品単位で明確に整理される。俳優はあくまで作品を成立させる要素のひとつであり、表情が暗く沈もうが、画面が影に覆われようが、作品の世界観が成立するならそれが正解となる。

こうして、日本映画は俳優の顔が綺麗に見えることが優先され、アメリカ映画は作品としての世界観が優先されるという構造が生まれてしまった。

短くまとめれば、日本映画は「出演者が主役」、アメリカ映画は「作品が主役」であるということだ。

しかしながら私は、どちらが正しい映画製作の在り方か、ということを問うているわけではない。どちらも善し悪しがあるのだ。

俳優中心であればフラットな画作りが正しく、作品中心であれば大胆な陰影設計が正しくなる。問題は、作り手自身がどちらを選んでいるのかを自覚しているかどうかであり、ここを曖昧にしたままでは映像表現が散漫になり、どちらの良さも発揮されない。

『ジョン・ウィック:チャプター2』の陰影表現は、作品を最優先に据えるアメリカ映画の美学が凝縮された典型であり、影に沈むキアヌ・リーヴスさえも世界観の一部として成立させている。

結局のところ、作品の“主役”をどこに置き、その方向性に合わせて映像表現を統一できるかどうかこそが、監督や製作者の本質的な仕事であると痛感した。それが今回、私が『ジョン・ウィック:チャプター2』を観て行き着いた結論である。

 

こんな人にオススメ!

『ジョン・ウィック: Chapter 2』は、ご存じ通り単なるのアクション映画ではなく、映像美と世界観の構築が突出した作品である。シリーズ全体の成長や深化を感じたい人には特に刺さるだろう。

  • スタイリッシュで迫力あるアクションが好きな人
  • 光と影を活かした映像表現に興味がある人
  • 主人公の葛藤や選択を軸にしたドラマ性を求める人
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ジョン・ウィック:チャプター2まとめ

キアヌ・リーヴス主演『ジョン・ウィック: Chapter 2』は、アクション映画という枠を超えて、世界観・キャラクター・映像演出が高次元で融合した作品である。特に影の使い方を軸にした画作りはシリーズの大きな特徴となっており、アクションの説得力や緊張感を引き出していた。主人公であるジョンが抱える制約や葛藤も強く描かれ、超人無敵のダークヒーローではなく、弱さを持ちながらも前に進む“ひとりの人間”としての魅力がより際立っているのだ。

総じて、本作はアクション映画の醍醐味と、ドラマティックな厚みを兼ね備えた一作であった。シリーズの中でも転換点となるストーリーが描かれる今作は、続編へとつながる必然性と期待感を強く視聴者の心に浮き立たせる。ジョン・ウィックの物語をさらに深く楽しみたい人にとって、欠かせない一篇であると言えるだろう。

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映画『ジョン・ウィック:チャプター2(2017年)』の作品情報まとめ(監督・キャスト・配信情報など)

  • 監督:チャド・スタエルスキ
  • 出演:キアヌ・リーブス, コモン, ローレンス・フィッシュバーン, リッカルド・スカマルチョ, ルビー・ローズ, ジョン・レグイザモ
  • 公開年:2017年
  • 上映時間:122分
  • ジャンル:アクション

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